『MONOPOLY GO!』でHasbroがモバイルゲームでIP親会社の首位獲得 IPモバイルゲームの収益トップはScopely、バンダイナムコENTは3位に Sensor Tower調査

Sensor Towerは、本日(2月29日)「 [レポート]IPゲームにおける環境の変化」を公開したことを発表した。

プレイヤーの獲得にかかる費用が増加の一途をたどる中、多くの開発者やパブリッシャーは、広範な訴求力を持つIP(知的財産)に目を向けている。このレポートでは、ここ数年間におけるトップIPの実績、IPメディアの種類、親会社などを見ていく。

▼知っておくべきこと - 重要ポイント
・『MONOPOLY GO!』は、世界で最も多くの収益を上げているIPモバイルゲーム。そのため、ScopelyはIPモバイルゲームによる収益でパブリッシャーの1位になり、HasbroはモバイルゲームでIP親会社の1位になった。

・IPコラボレーションによるアプリ内イベントの増加によって、IPの広範な訴求力がIP以外のゲームにも広がっている。

・2023年はWarner Bros.の『ホグワーツ・レガシー』をはじめ、PC/コンソールでもIPの大作が複数リリースされた。

本レポートでは、IPの保有者とパブリッシャーがIPから得られる機会について考える中で、トレンドを分析し、IPモバイルゲーム市場の規模と飽和度に目を向けている。また、2023年にリリースされたPC/コンソール向けトップタイトルについても詳しく取り上げている。

■IP親会社の収益トップ20

親会社は、IP事業者と個々のIPに分類される。例えば、DisneyはIP事業者であるLucasfilmを傘下に持つ親会社であり、Lucasfilmは「スター・ウォーズ」のIPを運営している。IPはIPメディアの種類によって色分けされている。IPメディアの種類とは、知的財産が最初に登場したメディアの種類のこと。たとえば、「スター・ウォーズ」は映画のIP、「モノポリー」はボードゲームのIPとなる。

上の図を見ると、『MONOPOLY GO!』の「モノポリー」IPによって、Hasbroが世界のIP親会社の1位になったことがわかる。2位は韓国のゲームパブリッシャーNCSOFTで、同社のRPG『リネージュ』は素晴らしい成功を収めている。Nintendoが『Pokemon GO』でランクインしたのも意外ではない。 3位は「ONE PIECE」や「NARUTO -ナルト-」をはじめとするアニメ/マンガのヒット作をコンスタントに送り出している出版社のShueishaが属するHitotsubashi Groupです。Hitotsubashi Groupは、単一の大ヒットIPがトップのIP親会社を支えるという傾向に逆らい、複数の強力なIPを傘下に収めている。Disneyはやや意外なことに5位となったが、強力なIPを複数持っているだけでなく、さまざまな種類のIPメディアを擁しているという点で、同様に傾向に逆らっている。

2021年と2022年には、『ドラゴンボールZ』のゲームでモバイルでの成功を収めている日本のパブリッシャーBandai Namco Entertainmentと、『リネージュ』シリーズの開発元である前述の韓国のパブリッシャーNCSOFTが、IPモバイルゲームの収益トップ2を占めた。これらの年にはScopelyもランクインしたが、『Star Trek 艦隊コマンド』や『MARVEL ストライクフォース』などによって辛うじて10位に入った。 『MONOPOLY GO!』をリリースしたことで、Scopelyは9ランクアップしてトップになった。もう1つの興味深い傾向は、Tencentが『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』によって2位に浮上したことだ。このモバイルMOBAは欧米ではそこまでの勢いはないが、中国では驚異的な成功を収めており、世界最高の収益を上げているゲーム『Honor of Kings』が『リーグ・オブ・レジェンド』から着想を得たモバイルMOBAであり、同じくTencentが所有していることを考えれば、それほど意外ではない。

ただし、最近ではIPを重視したゲームの開発だけでなく、モバイルゲームにおけるIPのもう1つの手段も目立つようになってきた。それはゲーム内イベントでのコラボレーション。こうしたイベントでは、モバイルゲームがIPと連携して、ダウンロード数、収益、エンゲージメントを促進する。

例えば、Robloxはここ数ヵ月だけでも、カナダのサーカスプロダクション会社Cirque du Soleil、日本のバラエティ番組「風雲!たけし城」、セレブのパリス・ヒルトン、K-POPグループのBLACKPINKと組んで多くのコラボレーションを展開している。これらのコラボレーションの中では、BLACKPINKとのコラボが最も多くの収益を上げたようで、K-POPファンがいかに熱心で献身的であるかを示している。 とはいえ、こうしたパートナーシップの主な目的が、広告収入に匹敵するユーザー支出を促すことでなければ、ユーザー支出が明らかに増えたとしても、Robloxにとっては表面的な成果でしかない。他のコラボレーションでは収益の著しい増加は見られなかったが、Robloxが取り組んでいる多種多様なパートナーシップは、そのプラットフォームとしての多彩な能力を示している。

また一方で、何かに特化しているからといって必ずしも不利とは限らない。むしろ、モバイルゲームとIPパートナーの間に強力な相乗効果が生まれれば、収益を大きく押し上げることもある。例えば、モバイルゲーム『勝利の女神:NIKKE』は最近、PC/コンソールゲームのIP『NieR:Automata』とゲーム内イベントで提携し、大きな収益を上げた。

『勝利の女神:NIKKE』は、魅力的なキャラクターたちが登場するSFモバイルRPGで、『NieR:Automata』とぴったり重なる。この重なりがあるからこそ、『NieR:Automata』のファンが『勝利の女神:NIKKE』を楽しみ、『NieR:Automata』のお気に入りのキャラクターを手に入れるためにお金を使う可能性が非常に高まった。その結果として収益が急増したことは、これら2つのゲームのオーディエンスがいかに重なり合っているかを示している。

話を戻すと、BLACKPINKはアプリ内イベントだけで成功しているわけではない。独自のモバイルゲームをリリースしており、縮小傾向が明らかな著名人IPのモバイルゲームカテゴリーの中で最も成功しているゲームの1つだ。アメリカで最もダウンロード数の多い著名人IPは、(一連のモバイル版パーティーゲームをリリースした)Ellen DeGeneresや、「Ryan's World」のような子ども向けのYouTubeチャンネルなどとなる。

IPに改めて注目が集まっているために、ここ1年、情報に基づいて戦略的な賭けに出ようとする企業には大きな成果が表れている。プライバシーをめぐる懸念からプレイヤーを効果的にターゲティングすることが一段と難しくなる中、IPは注目を集めるための手段として実証されており、その対象はIPを重視したゲームだけにとどまらない。今後の展開が楽しみだ。

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https://sensortower.com/ja/ip-gaming-landscape-shift-2024-report-japan

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