KADOKAWA、24年3月期決算は営業益29%減の184億円 『ELDEN RING』反動減や出版の先行投資響く 『ダンジョン飯』や『【推しの子】』などアニメ絶好調

KADOKAWA<9468>は、5月9日、2024年3月期(24年4月~24年3月)の連結決算を発表し、売上高2581億0900万円(前の期比1.0%増)、営業利益184億5400万円(同28.8%減)、経常利益202億3600万円(同24.1%減)、最終利益113億8400万円(同10.2%減)だった。

・売上高:2581億0900万円(同1.0%増)
・営業利益:184億5400万円(同28.8%減)
・経常利益:202億3600万円(同24.1%減)
・最終利益:113億8400万円(同10.2%減)

 

 

■出版・IP創出事業

売上高は1419億6700万円(同1.4%増)、セグメント利益(営業利益)は103億6000万円(同21.3%減)となった。

メディアミックス展開の重要な源泉として年間5500タイトル以上の新作を継続的に創出している。それにより蓄積したタイトルは13万以上にのぼり、この豊富な作品アーカイブが同社グループ成長の原動力となっている。

電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心として国内自社ストア・他社ストア向け販売ともに好調に推移している。

書籍・雑誌は、アジアでは堅調に成長したが、米国では過去数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増が継続したこと等により、海外事業全体で減収となった。

国内では、新規IP数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きかったこと等により減収となった。

新刊では、『パンどろぼうとほっかほっカー』、『メメンとモリ』(児童書)、『山田くんとLv999の恋をする(7)』、『光が死んだ夏(3)』(コミック)等の販売が売上高に貢献した。また、同社の出版IPの使用を他社に許諾することで得られるライセンス収入は堅調に伸長した。

当事業の中長期的な成長を見据えた人員増強、デジタル製造工場・新物流設備への投資等を積極的に実施したことで、費用は増加した。

 

■アニメ・実写映像事業

売上高は460億6000万円(同6.4%増)、セグメント利益(営業利益)は45億7400万円(同110.9%増)となった。

アニメでは、『ダンジョン飯』や『【推しの子】』、『異修羅』等の人気タイトルの国内・海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入が好調に推移し、力強く成長した。実写映像では、『わたしの幸せな結婚』や『首』、『マッチング』等の自社原作の実写映像化が貢献し増収となった。

利益面では、上記増収影響等により、セグメント全体で増益となった。

 

■ゲーム事業

売上高は253億5100万円(同16.5%減)、セグメント利益(営業利益)は79億5000万円(同44.1%減)となった。

フロム・ソフトウェアの新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』の国内外の販売や過去作品のリピート販売が好調に推移したことに加え、スパイク・チュンソフトの新作『超探偵事件簿 レインコード』や『不思議のダンジョン 風来のシレン6とぐろ島探検録』が売上高に貢献した。一方で、前期に世界的にヒットした『ELDEN RING』に相当するタイトルがなかった。

 

■Webサービス事業

売上高は213億9900万円(同3.0%減)、セグメント利益(営業利益)は3億6200万円(同77.9%減)となった。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が3月末には117万人となり、前年3月末から減少となったことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことにより減収となった。各種イベントの企画・運営では、8月開催の『Animelo Summer Live』等の貢献により増収となった。

利益面では、動画コミュニティサービスの減収影響に加え、将来の開発スピードアップやコスト効率性向上のためにITインフラ投資を増加させたこと等により、減益となった。

 

■教育・EdTech事業

売上高は133億9000万円(同7.3%増)、セグメント利益(営業利益)は17億2700万円(同2.4%減)となった。

クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでは、展開地域拡大の貢献に加え、強化を進めている社会人コースを中心とした生徒数増加により、増収となった。また、ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移している。

利益面では、バンタンで4月に開校する新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等での生徒獲得のために積極的に広告宣伝費を投下したこと等により、セグメント全体で減益となった。

 

■その他事業

その他事業では、ところざわサクラタウン等の施設運営及びキャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っている。

施設運営事業では増収となった。MD事業でも、フィギュアの売上高が順調に拡大し増収となったことに加え、一部新規サービスの拡大もセグメント全体の増収に貢献している。

利益面では、施設運営事業における一部事業撤退やコスト適正化の効果を中心に、セグメント全体として増益となった。

 

■2025年3月期の業績見通し

2025年3月期の業績は、売上高2713億円(前期比5.1%増)、営業利益165億円(同10.6%減)、経常利益186億円(同8.1%減)、最終利益134億円(同17.7%増)、EPS99.67円を見込む。

・売上高:2713億円(同5.1%増)
・営業利益:165億円(同10.6%減)
・経常利益:186億円(同8.1%減)
・最終利益:134億円(同17.7%増)
・EPS:99.67円

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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