ブシロード、定時株主総会を開催 『D4DJ』や『ガルパ』など個別IPから人事、事業戦略まで多様な質疑応答が交わされる 「ロードス島戦記」水野良氏が監査役に



ブシロード<7803>は、10月27日、東京都内で第14期(2020年7月期)の定時株主総会を開催した。2020年7月期の決算報告を行い、「第14期事業報告」連結計算書類と計算書類の承認のほか、定款の一部変更と取締役人事、水野良氏が監査役への就任、ハロルド・ジョージ・メイ氏への退職慰労金について上程し、議案どおりに承認可決された。また『D4DJ』に出演する愛美さんと西尾夕香さんが出演し、作品のアピールも行った。このほか、質疑応答の時間では、参加した株主からメイ氏の退任理由や水野良氏の起用理由、ゲーム事業、プロレス事業について質問が行われた。


 
【取締役人事】

・橋本義賢
・木谷高明
・広瀬和彦
・村岡敏行
・桶田大介
・稲田洋一


 
【監査役】

・水野良氏
「会社経営には携わったことはありませんが、異世界で世界征服や冒険などを経験しておりますので、その経験を生かして微力ながら頑張りたいと思います」


 
■2020年7月期の決算について

【詳報】ブシロード、20年7月期は売上高2.6%増、営業益11.4%減 モバイルゲームが過去最高の年間売上を達成 ライブIP事業は上期好調も新型コロナで下期悪化
ブシロードの決算説明資料より…「バンドリ!」IPが初の売上高100億円超を達成! アルバムCDなど音楽ソフトも好調に推移



 
【質疑応答(抄録)】

■ゲーム事業について
Q モバイルゲーム事業ではガチャを中心にした課金収益が中心だが、IPへのロイヤリティを焼畑農業的に消費しているのではないか。

(広瀬氏)スマートフォンゲームは、コンシューマゲームのように一定の金額で遊べるものとは異なる。多額のお金を使う人がいれば、逆に全く使わない人もいる。課金が過剰になってしまう場合は規制に従っていくべきだろう。当社のゲームは、単にそれ単体で収益を稼ぐだけでなく、イベントやグッズに誘導するプラットフォームの役割も果たしている。

昨今、ゲームアプリマーケットが過密になり、同じようなゲームが増える中、新しい形のゲームも出ているので、当社も市場のトレンドに合わせてふさわしい形に変えていくべきと考えている。ただ、ここで報告できるような、ダイナミックな取り組みはまだ行っていない。


Q Z世代のモバイル利用が多い。若い世代に対して『荒野行動』や『フォートナイト』、『原神』など作り込まれたゲームにのめり込む人が多いが、3Dを使ったハイエンドゲームに取り組む考えはあるのか。
(広瀬氏)市場でヒットしているハイエンドゲームの多くは、国内ではなく、海外のゲーム会社が開発している。こうした話は、スマホゲーム以前からあったことなのだが、日本のゲーム開発会社は、ハイエンドゲームの開発を得意としてこなかった。当社としては、ハイエンドなゲームを出せる会社とも取り組みを進めたいが、現段階で発表できるものはない。


Q ゲーム事業について、他のゲーム会社だとeスポーツに注力している状況にあるが、ブシロードではどうするのか。
(広瀬氏)昨年も同じ質問をもらったが、eスポーツに近いジャンルのゲームをもっていないし、重点も置いていない。eスポーツが注目を集めているのは承知しているが、一つのゲームカテゴリーと認識している。ブシロードとしてはゲームに限らない、メディアミックス展開を最大限活用したビジネスを行っており、それに沿ったゲームに特化すべきと考えている。eスポーツに中途半端に手出しするより、特定の分野に注力していくべきと考えている。eスポーツについては合うタイトルがあれば考えるが、現状ではない。


■『バンドリ!』プロジェクト
Q 『バンドリ!』で、新バンド「Morfonica(モルフォニカ)」を投入した意図を教えてほしい。バンドの実力に疑問視する声もある。

(木谷氏)現状では、バイオリンとドラムは超一級品、ベースとギターは急上昇中だ。おそらく問題にされているのは、ボーカルについてだろうが、批判する前に半年前の歌と聴き比べてほしい。ボーカルはまだ16歳。いまもっとも成長している時期だ。10代の人は、歌い込んだり、描き込んだりすると、大きく成長する傾向にある。向こう1年、2年を見ていただければ、必ず大きく成長し、すごいバンドになったなと理解してもらえると思う。

また、バンドを追加した理由は、『バンドリ!プロジェクト』としては4年間、『ガルパ』としても3年半経過して、3周年で新しい要素を入れたほうがいいと考えた。かなり前から計画していたものだが、新しさを出せたのではないか。リアルのライブがもっとできたら、新バンドを入れた意味がより理解できたのではないか。


Q 『バンドリ!』のアルゴナビスについて聞きたい。男性バンドなので共演については慎重に判断したのだろうが、「BUSHIROAD ROCK FESTIVAL2021」で実現する。今後もフェスなどの展開は行っていくのか。
(木谷氏)『バンドリ!』の作中には男性が出てこないので共演させるかどうかは迷ったが、「ロック」という切り口のフェスなら一緒に出しても大丈夫ではないかと思い、3つのグループを集めてライブすることにした。どんな化学反応が生まれるのか、実際に見てみないとわからない。

それ以外では、例えば、「Happy」など異なる切り口も模索している。ただ、ライブはあくまでお客様あってこそ。受け入れていただけるのか試してみないとわからないが、お客様と一緒に作っていきたい。


■『D4DJ』について
Q 『D4DJ』については中吊りに広告やテレビCM、テレビの特番もやるが、広告費をかなりかけているようにみえる。大丈夫か。

(橋本氏)今期の業績予想は開示してないので何も言えないが、投資に対するリターンを重視しており、積極的な宣伝活動を行っている。


Q バンダイナムコグループが『電音部』を発表した際、木谷会長が「最後のピースが揃った」とSNSでつぶやいたが、その意図は。また勝てる自信はあるのか。
(木谷氏)比較されるものやライバルの存在は、そのコンテンツのジャンルが伸びていくための条件であると思っている。そういう意味での発言だった。広告費のかけ方についてはゲーム部門と話し合って決めているが、2018年時点で2019年から2021年が日本のエンタメ業界の分水嶺になると考え、2020年に合わせて準備していた。『バンドリ!』を立ち上げた3年前よりも新規コンテンツの立ち上げ難易度が3~4倍上がっている。立ち上げ時の瞬間風速の上げるためにプロモーションを強化している。

また、「こんなに新規タイトルを立ち上げて大丈夫か」と思われるだろうが、『アルゴナビス』や『アサルトリリィ』までが新規コンテンツ立ち上げ時期の一つの区切りになる。今後は女子プロレスの『スターダム』も含めて既存IPを丁寧に育てていく局面に入っていくが、いまは新規を全力で立ち上げる時期だ。この状況がずっと続くことはない。当社グループには10個以上のIPがある。IPは作っているときは自分の子供のように思っている。他社IPも育ての親という感覚だ。


■ライブ事業について
Q ライブ事業については、消費者の意見としてはチケットの価格がかなり上がっていると感じている。ライブは1万5000円で、ライブビューイングでも5000円かかる。ライブに行けないライトユーザーからするとちょっと行きづらいのではないか。

(木谷氏)新型コロナの影響で使える座席数が少なくなるため、価格を上げている部分がある。会場を満席にできるようになった時点で見直したい。ライブビューイングに関しても、座席数の制限もあって価格を上げている。こちらもコロナ次第だ。

またバンドのライブは、制作費が通常のライブよりもかかるのも現状だ。コストを削ると演出の質が落ちてしまう。また演奏の練習時間のかかるため、ギャラについても通常の声優ライブよりも高くしていることも背景にある。ただ、ご指摘のように価格が高いと思っている部分はあるので、新型コロナの動きを見ながら見直していきたい。


Q ライブの来場者アンケートについて、最近では配ることがなくなったのでは。
(木谷氏)ライブのたびに、音響や演出、作曲家なども交えて反省会をやっている。それとは別にスタッフがライブ以外の部分でも反省会をやっている。これまでのように紙でのアンケート用紙の配布は難しいので、ウェブアンケートを活用することも考えたい。持ち帰って検討して実現したい。


Q 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のイベントが脅迫で中止になってしまったが、被害届は出したのか。
(木谷氏)すべて被害届を出しており、IPアドレスをたどっているが、残り100人までしか絞れないときもあった。これは当社だけの問題ではなく、業界全体として取り組む問題だ。警察との関係づくりと法務面も整備している。最終的にやるかやらないかは会場が判断する。問題になった脅迫についてだが、当社としてはやろうとしていたが、新型コロナの問題も重なると、どうしても弱気になってしまったのは仕方がない。


■人事について
Q 新日本プロレスのハロルド・ジョージ・メイ氏退任の理由は。

(橋本氏)メイ氏の退任については、当初目的を達成したため。株式上場とグループ全体のコンプライアンス体制強化、新日本プロレスの社会におけるプレゼンス向上が達成できた。
(メイ氏)今回退任する理由は、自分の意志ではなく、会社が決定したこと。職務を全うしたかった。できれば一生ここで働きたかった。その他については、プレスリリースとコラムに書いたとおりだ。


Q 取締役を見渡して女性が少ない。女性向けコンテンツを作るには女性目線も重要では。
(橋本氏)当社は、男女平等、学歴・国籍不問で採用活動を行っているが、今のタイミングでは女性が少ない。ESG経営(Environment[環境]・Social[社会]・Governance[企業統治])のSocialの部分にもあたるが、今後もダイバーシティの観点で、門戸を開いて登用していきたい。


Q 水野良氏を監査役に選任した理由について。
(橋本氏)当社はIPディベロッパーなので、経営にもクリエイター目線を入れたほうがいいと考えた。クリエイター目線で経営を見ることで、エンタメ市場における望ましい経営の姿になるのではないかと考えてお願いした。


■その他
Q 7月末に転換社債を発表したが、IP開発で20億、発展(M&A、資本業務提携投資)で29億使うとのことだったが、枠が大きすぎるのでは。

(橋本氏)資金使途については、2つの方向性があり、ひとつはコロナ対策としての資金繰り問題の解決がある。まだわからない部分があるが、11月以降、今年の3月、4月のような状況になる可能性があり、備えておくべきと考えた。

そして、緩やかな経済活動が再開できればと、前向きな投資が可能になる。主にアニメ制作などのIP開発に使うほか、IPを持っている会社、IPを利用した事業を行う会社との資本提携を含めた企業買収を考えている。29億円全額を厳密に割り当てているわけではない。現在、複数のM&A案件を抱えている。相乗効果や当社の方針に合う会社があったらM&Aもありうる。


Q Vtuber事業について。どういう展開を考えているのか。KPIはなにか。
(ブシロードクリエイティブ成田 耕祐氏)今のところは準備段階にある。バーチャルアクターとして活動する。ライブ配信を中心とする通常のVtuberとは異なる。役者業を通じて、いろいろなプロダクトに関わっていきたい。年内に全貌を明らかにする。KPIについてはライブ配信の場合はスパチャ(投げ銭)が中心となるが、当社の場合はマーチャンダイジング(キャラグッズ)など総合的な収益が可能になる。


Q 株主優待についてなにか考えているか。
(橋本氏)株主還元については積極的にやりたいと思っているが、発表できずに終了した。これも新型コロナが原因だ。新型コロナが収束次第、考えたい。


 
【愛美さん・西尾さんのコメント】
 

『D4DJ』に出演する声優の西尾夕香さん(写真右、Happy Around! 愛本りんく役)と、愛美さん(写真左、Peaky P-key 山手響子役)が本日(10月27日)、東京都内で開催されたブシロードの定時株主総会に登場し、訪れた株主に向けて作品のPRを行った。

『D4DJ』は、『BanG Dream!』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に続く、「DJ」がテーマの音楽メディアミックスコンテンツだ。

スマホゲーム『D4DJ Groovy Mix』は、20、30代を中心に10代から50代まで幅広い人が遊べるリズムゲームだ。Android/iPadの無料ランキングで10月18日から連続で無料ダウンロードランキング1位、iOSのゲームのセールスランキングでもリリース直後の25日に11位を獲得し注目を集めている。

また、アニメ「D4DJ First Mix」の第1話は、YouTubeで先行公開しており、130万再生を記録するなどゲームとともに注目を集めている。テレビでは10月30日より毎週金曜23時から放送開始となる。全国30局以上での放送、また字幕15か国、吹き替え3か国と全世界でも配信する予定。

さらに10月28日20時からTBS系列で『D4DJ presents CDTV特別編 みんな歌える!神プレイリスト音楽祭』が放送する。昭和から令和の名曲の中から、歌うま芸能人が神プレイリスト作りと歌唱に挑戦。さらにHappy Around!、Peaky P-key、Photon Maiden、Merm4id、燐舞曲、Lyrical Lilyの全6ユニットが特別出演し、歌うま芸能人と一緒に珠玉の名曲を歌う。

愛美さんは、「アプリ・アニメに続き今後も様々なメディアミックスを展開してまいりますD4DJを、何卒よろしくお願い致します!」とアピールした。

さらに2人は株主向けのメッセージも寄せた。


愛美さん
「株主総会に初めて参加させていただきました。短い時間ではありましたが、皆様ありがとうございました!走り始めたばかりのD4DJですが、精一杯盛り上げて参りますので、引き続きよろしくお願い致します!」


西尾さん
「本日は株主総会にお越しくださりありがとうございました。株主の皆様の期待に応えられるよう精進、そしてD4DJというコンテンツを大きくしていきたいと思っておりますので今後ともよろしくお願いいたします!」
 
株式会社ブシロード
http://bushiroad.com/
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会社情報

会社名
株式会社ブシロード
設立
2007年5月
代表者
代表取締役社長 木谷 高明
決算期
6月
直近業績
売上高487億9900万円、営業利益33億8500万円、経常利益45億300万円、最終利益20億5000万円(2023年6月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
7803
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