【DeNA決算説明会】10~12月のゲーム事業は減収減益 コスト削減と有力IPタイトルで反転を狙う オートモーティブは一部統合で来期への影響も


ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、2月6日、第3四半期(19年10~12月)の決連結算(IFRS)の発表を行うとともに、東京都内でアナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。

第3四半期累計(19年4~12月期)の連結決算(IFRS)を発表し、売上収益911億円(前年同期比3.7%減)、営業損益441億円の赤字(前年同期は85億円の黒字)、最終損益501億円の赤字(前年同期は80億円の黒字)となった。衝撃的な規模の赤字となったが、ゲーム事業の業績動向や事業環境を踏まえ減損テストを行い、ngmocoののれんの減損損失を計上したことによるもの。

四半期ベースで見ると、売上高259億円(前四半期比23.6%減)、営業損益492億円の赤字(前四半期実績は27億円の黒字)、最終損益467億円の赤字(同24億円の黒字)と大幅減収・赤字転落となった。
 

決算説明会に臨んだ守安功社長(写真)は、「3Qに大きな減損を計上していること、また通期のNON GAAPにおいても赤字予想をしている」と厳しい状況を振り返った。また上場以来初の通期の赤字見込みということで、「上場以来、通期を黒字でやってきたことへのけじめ」として、南場智子会長と守安功社長の両名が、3ヶ月役員報酬の50%を返上したことも明かした。

本稿では第3四半期の振り返りと今後の展望についてお伝えする。

 
■有力タイトル配信で反転を狙うゲーム事業

3Qのゲーム事業は190億円(前四半期比12%減)、営業利益は20億円(同43%減)と減収減益となった。年末年始施策の伸び悩みで売上減、販促費の増加で利益を圧迫した。
 
▲販促費・広告費は年末商戦と中国市場向けの『スラムダンク』配信の影響で40%増加(前四半期比)。

続く第4四半期のゲーム事業は、『ファイアーエムブレムヒーローズ』をはじめ、『逆転オセロニア』『キン肉マン マッスルショット』など周年を迎えるタイトルが複数あるため、コイン消費積み上げへの期待があるという。加えて年末年始のマーケティング費用などで増加した販促費が減少するため、利益面においては第2四半期程度の見込み。

なおゲーム事業に関しては、新作タイトルで大きな売上を狙う方針があるようだ。守安社長は「有力IPを使ったタイトルを2021年3月期後半にリリースを予定しており、同社のゲーム事業反転の軸になる」と、今後の展望を明かしている。

 
 
■スポーツはオフシーズンも赤字幅は縮小、『Pococha』への期待も高まる
スポーツ事業に関しては、3Qにプロ野球がオフシーズンになるため、例年赤字になるものの、クライマックスシリーズの進出に伴って前年同期比で売上収益が24億円(前年同期比101%増)、営業損益18億円(前年24億円の赤字)と赤字幅の縮小に成功した。

ゲーム、スポーツの次の柱として期待しているライブコミュニケーション事業の『Pococha』とヘルスケア保険の『DeSCヘルスケア』に関しては、赤字であるものの、売上のトップラインを順調に伸ばしているようだ。特の『Pococha』に関しては来期への期待も高いという。
 
なお、決算説明会の前日にオートモーティブ事業の一部であるタクシー配車アプリ『MOV』や事故削減支援サービス『DRIVE CHART(ドライブ チャート)』がJapanTaxiとの事業統合を発表。

同事業の2020年3月期までの累計の営業損益は53億円の赤字で、中でも大きく投資していたのが『MOV』だ。ただしオートモーティブ事業には複数のサービスやプロジェクトがあるため、「同事業の全てが連結営業損益に影響するわけではない」とのこと。来期以降どれだけ影響するかは、大きな注目ポイントになるだろう。


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株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1349億1400万円、営業利益42億0200万円、税引前利益135億9500万円、最終利益88億5700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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