【ミクシィ決算説明会】『モンスト』リバイブ奏功しMAU急回復 続く3QはARPU引き上げ売上拡大を狙う 好調のスポーツ事業は中長期の成長に期待


ミクシィ<2121>は、11月8日、2020年3月期の第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表、売上高468億円(前年同期比34.1%減)、営業利益40億円(同80.5%減)、経常利益40億円(同80.5%減)、最終利益21億円(同83.0%減)となった。理由は『モンスターストライク(モンスト)』の売上の低下が主要因となる。

決算説明会に臨んだ木村 弘毅社長(写真)は、『モンスト』のリバイバルに取り組み、「第2四半期におけるMAU(月次アクティブユーザー数)を昨年以上の水準に押し上げた」と話し、ゲーム内通貨「オーブ」配布や人気キャラが排出するガチャなど断続的に行うことで、休眠ユーザーの復帰を促したと説明した。

続く第3四半期は、『モンスト』MAUの好調を維持しつつ、ARPU(1ユーザーあたりの課金額)の向上に注力し、収益の回復を狙っていく考えだ。

今回のレポートでは、第2四半期(7~9月)の業績を中心にみていく。また『モンスト』と、スポーツ事業における取り組みについても紹介したい。

 
■第2四半期は『モンスト』の売上低下により減収減益

まず、第2四半期を見ていこう。売上高は260億円(前年同期比28.6%減)、営業利益23億円(同75.3%減)と大幅な減益で着地した。
 

事業別の売上では、『モンスト』を中心としたエンターテインメント事業の売上高が同28.7%減の251億円となった。また、ライフスタイル事業の売上高も同8億8700万円(22.7%減)と低下したが、これは主に昨年5月にDiverseの全株式を譲渡した影響となる。
 

では費用についてはどうだろう。まず売上原価では『モンストドリームカンパニー』のリリースにより、外注費が一時的に増加している。これは資産計上していたゲーム開発費を費用に振り替える処理を行ったためだという。
 

また販管費では広告宣伝費が63億円については前四半期との比較で22億円ほど増加した。XFLAG PARKの開催や、モンスト6周年のカウントダウンキャンペーンの影響だが、MAUの回復に貢献した。またその費用自体も減少しており、木村社長は「広告宣伝費を効果的に使い、MAUも大幅に回復できた」と成果を強調していた。
 

 
■第3四半期は『モンスト』売上追求フェーズへ

『モンスト』のMAU獲得施策が好調だったようだ。木村社長は、MAU回復の理由として、自虐とも言える「俺たちの声を聞け」キャンペーンによって「運営が自分(ユーザー)たちの声を聞いてくれると思ったからでは」点に加え、オーブの無料配布の効果が大きいと説明した。

また第3四半期以降に関しては、回復したMAUをベースにARPUを高めていく考えだという。足元の状況としてMAUは2Qよりも下がっているものの、引き続き高い水準にあるという。また3Qには『モンスト』にとって非常に重要な年末年始の施策があるため、同社にとってはこのMAUの高さが今後の売上増の大きな足がかりになりそうだ。

なお、木村社長は「紅白か『モンスト』か、そういう盛り上げ方をしていきたい」と年末に向けての意気込みを語っていた。なお広告宣伝費については例年は80億円を超える広告宣伝費を投下しているが、今年については同程度か、抑えていく考えを示した。ただし木村社長は「広告宣伝費のウェイトはかなり重いが、縮小均衡に陥りたくはない。」として、『モンスト』を更に伸ばしていく意思の表れとした。
 

 
また今期より、セガゲームスより『コトダマン』の運営を引き継いだ。『モンスト』とのコラボなどが奏功し、売上ランキングも谷が浅くなっている。木村社長は「『コトダマン』はまだまだ仕込み段階。これからどんどん向上できる」と自信を覗かせた。

その一方で期待の新規タイトル『モンストドリームカンパニー』は元気がない状況だ。「まだ細かい分析はしきれていない」(木村社長)としながらも、今後も同タイトルの改善を図っていく考えのようだ。

 
■千葉ジェッツふなばしを中心にスポーツ事業にも注力

プロスポーツチーム経営については、Bリーグチーム「千葉ジェッツふなばし」の株式の過半数を今年4月に取得し⼦会社化している。8月には29歳の米盛勇哉氏(下記の写真左側)が社長に就任した。またミクシィはバックオフィスの強化やデザインリソースといった運営の強化を行っているという。
 

 
なお、千葉ジェッツは、2019年6月期は、売上高が前の期比23.4%増の17億円、経常利益が同12%増の1億円、最終利益が同11.9%増の1億円と2ケタの増収増益を達成した。スポンサー収入や入場者数が伸びていることが主な要因だが、今後のスタジアム建設などで高い成長が期待される。

 
■2019年3月通期の見通し

2020年3月期通期の予想については、売上高1000億円(前期比30.6%減)、営業利益50億円(同87.8%減)、経常利益50億円(同87.8%減)、最終利益30億円(同88.7%減)の見込み。
 

 

通期計画に対して中間期の利益進捗率が70~80%と高い水準だが、会社側は従来計画を据え置いた。これについては、下期に予定している本社移転費用として40億円を見込んでいるためとしている。
 

 
(取材・文:編集部 和田和也)
 
 
株式会社MIXI
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会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6700万円、営業利益248億2000万円、経常利益182億5000万円、最終利益51億6100万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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