家庭用ゲーム大手の19年4-6月期、6社中4社が営業増益 前期苦戦のセガサミーとスクエニ復調 リピート寄与のバンナムとカプコンも増益確保

家庭用ゲームソフト大手6社の第1四半期(4~6月)の決算が出揃った。本業の儲けを示す営業利益が前年同期に比べてプラスとなったのは、6社中4社だった。

カプコン<9697>やセガサミーホールディング<6460>、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>が大幅な増益を達成した一方で、コナミホールディングス<9766>とコーエーテクモホールディングス<3635>が減益と明暗が分かれた(以下、社名は略称とし、ホールディングスについては「HD」と表記する)。

 
注1)コナミHDのみ経常利益は税引前純利益となっている。
注2)億円未満は切り捨て。


好調が目立ったのは営業利益が3.6倍となったセガサミーHDだろう。遊技機が不調だったものの、PCオンラインとスマホゲームが黒字転換しただけでなく、家庭用ゲームでも新作『Total War: THREE KINGDOMS』の販売が想定を大きく上回った。またスクエニHDも85%増と大きく伸びた。MMO『ファイナルファンタジーXIV』の課金収入好調だったほか、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』がけん引し、スマホゲームも伸びた。両社は前期は苦戦した(関連記事)が、見事に復調した。

同じ増益組であるバンナムHDとカプコンについては、新作ではなく、過年度発売タイトルのリピート販売やダウンロード販売が増えたことで利益を伸ばした格好だ。一般的に過年度発売タイトルは、発売した前の期に開発費を計上してしまっているため、売上=利益とまではいかないが、発売時期に比べて利益率が高い傾向にある。

他方、減益組についてみていくと、コナミHDについてはアミューズメント事業の製品投入時期の問題で、ゲーム事業は増収増益だった。そして、コーエーテクモHDについても、主力タイトルの発売を第2四半期以降に予定しているためで、ゲームソフトの販売本数やスマホゲームの運営収入が不振というわけではなかった。

各社の状況は以下のとおり。


■カプコン<9697>
売上高179億3800万円(前年同期比4.3%増)、営業利益77億0300万円(同50.8%増)だった。有力タイトルの投入サイクルが端境期となったことにより新作ソフトの発売が移植版タイトル等の少数にとどまったが、前期にヒットした「バイオハザード RE:2」や「デビル メイ クライ 5」、「モンスターハンター:ワールド」も根強い人気に支えられ息が長い売行きを示した。これらのリピートタイトルが利幅の大きいダウンロード販売の伸長により利益を大きく押し上げた。

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■コナミホールディングス<9766>
売上高564億円(前年同期比3.4%減)、営業利益100億円(同15.2%減)だった。デジタルエンタテインメント事業は増収増益となったものの、アミューズメント事業において製品投入時期の違いなどがあったという。『遊戯王 デュエルリンクス』がグローバルでけん引したほか、『プロ野球スピリッツA(エース)』も好調だった。『ウイニングイレブン 2019』(海外名『PRO EVOLUTION SOCCER 2019』)や『実況パワフルプロ野球』などのタイトルも引き続き堅調だった。

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■コーエーテクモホールディングス<3635>
売上高72億2800万円(前年同期比10.9%減)、営業利益9億5600万円(同58.3%減)だった。主力タイトルの発売を第2四半期以降に予定していることから前年同期比では減収減益での着地となった。IP許諾タイトルである『新三國志』のロイヤリティ収入が収益に大きく貢献しており、その反動も出たもようだ。

【詳報】コーエーテクモHD、1Qのエンタテインメント事業は売上高13%減、セグメント利益65%減に 主力タイトルリリースなく減収減益


■スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>
売上高533億円(前年同期比19.1%増)、営業利益71億円(同85.8%増)だった。主力のゲーム事業を中心に全セグメントが増益となった。ゲーム事業においては、家庭用ゲームソフトが小幅な黒字転換となったほか、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』が好調に推移したことから、スマホゲームも増収増益となった。MMOも『ファイナルファンタジーXIV』拡張パッケージの発売に先行して課金収入が好調に推移した。

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■セガサミーホールディングス<6460>
売上高727億円(前年同期比5.7%増)、営業利益34億円(同3.6倍)だった。ゲームを中心とするエンタテインメントコンテンツ事業が好調だった。スマホゲームなどデジタルゲーム分野で、一部既存タイトルの好調や、タイトルの譲渡などによる収益を計上したことなどにより、大幅に収益性が改善。パッケージゲームは、リピート販売が前年同期比で減少した一方、新作販売が好調だったことにより、販売本数は624万本(前年同期は570万本の販売)となった。『Total War: THREE KINGDOMS』が想定以上の売れ行きだったとのこと。

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■バンダイナムコホールディングス<7832>
売上高1592億円(前年同期比5.5%増)、営業利益228億円(同27.6%増)だった。国内外でハイターゲット層(大人層)に向けた商品が好調だったトイホビー事業、国内外のネットワークコンテンツや海外の家庭用ゲームソフトのリピート販売が好調だったネットワークエンターテインメント事業が好調に推移した。「enza」立ち上げ費用がなくなったことや、新作が少なかったことによる開発費と広告宣伝費も増益要因となったという。

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(編集部・木村英彦)
株式会社カプコン
http://www.capcom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社カプコン
設立
1983年6月
代表者
代表取締役社長 最高執行責任者 (COO) 辻本 春弘
決算期
3月
直近業績
売上高1259億3000万円、営業利益508億1200万円、経常利益513億6900万円、最終利益367億3700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9697
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
企業データを見る
コナミグループ株式会社
http://www.konami.com/

会社情報

会社名
コナミグループ株式会社
設立
1973年3月
代表者
代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
決算期
3月
直近業績
売上高3143億2100万円、営業利益461億8500万円、最終利益348億9500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
証券コード
9766
企業データを見る
コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高784億1700万円、・営業利益391億3300万円、経常利益398億9900万円、最終利益309億3500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
企業データを見る
株式会社バンダイナムコホールディングス
http://www.bandainamco.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコホールディングス
設立
2005年9月
代表者
代表取締役社長 川口 勝
決算期
3月
直近業績
売上高9900億8900万円、営業利益1164億7200万円、経常利益1280億0600万円、最終利益903億4500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7832
企業データを見る
セガサミーホールディングス株式会社
http://www.segasammy.co.jp

会社情報

会社名
セガサミーホールディングス株式会社
設立
2004年10月
代表者
代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
決算期
3月
直近業績
売上高3896億3500万円、営業利益467億8900万円、経常利益494億7300万円、最終利益459億3800万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6460
企業データを見る