家庭用大手ゲーム単体決算まとめ カプコンとバンナムが2ケタの経常増益 スクエニとセガゲームスが苦戦

上場している大手ゲーム会社の決算比較をこれまでも何度か行っているが、いずれも非ゲーム事業も含んだ連結ベース、もしくは持株会社の数字であった。今回、大手ゲーム会社「単体」の決算を見ていこう。今回、2019年3月期の数字が出揃ったのでまとめてみた。

カプコン、コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)、コーエーテクモゲームス、スクウェア・エニックス、セガゲームス、バンダイナムコエンターテインメントが対象で、データは各社の提出した有価証券報告書や決算短信からとった。

売上高が最も大きいのはバンダイナムコで2544億円、スクエニが1732億円と続いた。経常利益も、バンダイナムコが325億円と最も大きく、スクエニが211億円と続いた。カプコンが20%の伸びを示すなど好調だった。他方、セガゲームスが15億円の赤字と苦戦した。

 
※コナミデジタルエンタテインメントのみ経常利益ではなく税引前利益となる。したがって他社と比較はできない。
※利益の前年比の項目で実額のところは利益額または損失額を示す。


各社の状況は以下のとおり。コメント部分は決算発表時のものを要約したものとなる。


■カプコン
売上高770億円(前の期比5.2%増)、経常利益183億円(同20.6%増)、最終利益173億円(同45.9%増)だった。

『モンスターハンター:ワールド』の出荷本数が1,200万本を突破し、同社の単一タイトルとしては過去最高記録を更新したほか、『バイオハザード RE:2』が400万本を超える大ヒットを記録。同じく『デビル メイ クライ 5』も海外で定着した人気により200万本を出荷した。


■コナミデジタルエンタテインメント
売上高1269億円(前の期比14.8%増)、税引前利益334億円(同1.9%増)、最終利益212億円(同3.1%増)だった。

サッカーおよび野球コンテンツの各シリーズタイトルが堅調に推移した。『プロ野球スピリッツA』が第3四半期に続いて好調を維持しているほか、『遊戯王 デュエルリンクス』や、第3四半期に大型アップデートを実施した『ウイニングイレブン2019』(『PRO EVOLUTION SOCCER 2019』)などがけん引した。


■コーエーテクモゲームス
売上高309億円(前の期比1.2%増)、経常利益155億円(同0.3%減)、最終利益118億円(同6.4%増)だった。

『ファイアーエムブレム 風花雪月』の開発に参画していることが発表されたほか、3月にはシリーズ7年ぶりのナンバリングタイトル『DEAD OR ALIVE 6』を全世界同時に発売し、35万本の販売となった。スマートフォンゲームでは、同社がIPを許諾した『新三國志』『真・三國無双 斬』が好調に推移した。


■スクウェア・エニックス
売上高1732億円(前の期比9.9%減)、経常利益211億円(同38.1%減)、最終利益130億円(同53.4%減)だった。

家庭用ゲーム向けは、新作投入に伴う各種費用の増加により、前期比で減益となったほか、スマホゲームも前期および上期にサービスを開始したタイトルの多くが想定を下回り、既存有力タイトルの売上高に上乗せをするに至らなかった。また、ライセンス収入の減少によって、前期比で減収減益となった。MMORPGも前期に拡張パッケージの発売があった反動により、前期比で減収減益となった。


■セガゲームス
売上高684億円(前の期比0.1%増)、経常損益14億円の赤字(前の期は77億の黒字)、最終損益は59億の赤字(同60億の黒字)だった。

ゲームは、パッケージが堅調だったが、スマホゲームやPCオンラインゲームを展開するなどデジタル分野が赤字となるなど苦戦した。本社の移転費用も重しとなったようだ。このほか、最終損益の赤字幅が大きいが、セガゲームスとその連結子会社が保有するデジタルゲーム分野の固定資産の一部について減損損失61億0800万円を特別損失に計上したことによる。


■バンダイナムコエンターテインメント
売上高2544億円(前の期比1.0%減)、経常利益325億円(同11.6%増)、最終利益247億円(同8.6%増)だった。

スマートフォンゲームは、「ドラゴンボール」や「ワンピース」、国内の「アイドルマスター」シリーズなどの主力タイトルがユーザーに向けた継続的な施策により好調に推移した。また、新プラットフォームの立ち上げ等の新たなサービス創出に向けた取り組みを行った。また、家庭用ゲームは「SOULCALIBUR Ⅵ」、「ACE COMBAT7: SKIESUNKNOWN」、「ジャンプフォース」等のワールドワイド向け新作タイトルの販売に加え、既存タイトルのリピート販売や国内新作タイトルなどの販売が好調に推移した。

 
(編集部・木村英彦)
株式会社コナミデジタルエンタテインメント
https://www.konami.com/games/corporate/ja/

会社情報

会社名
株式会社コナミデジタルエンタテインメント
設立
2006年3月
代表者
代表取締役会長 東尾 公彦/代表取締役社長 早川 英樹
決算期
3月
直近業績
売上高1940億1100万円、営業利益336億4700万円、経常利益348億9300万円、最終利益278億2800万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
https://www.bandainamcoent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
設立
1955年6月
代表者
代表取締役社長 宇田川 南欧
決算期
3月
直近業績
売上高2896億5700万円、営業利益442億3600万円、経常利益489億5100万円、最終利益352億5600万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス
https://www.jp.square-enix.com/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス
設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社カプコン
http://www.capcom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社カプコン
設立
1983年6月
代表者
代表取締役社長 最高執行責任者 (COO) 辻本 春弘
決算期
3月
直近業績
売上高1259億3000万円、営業利益508億1200万円、経常利益513億6900万円、最終利益367億3700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9697
企業データを見る
株式会社コーエーテクモゲームス
https://www.gamecity.ne.jp/

会社情報

会社名
株式会社コーエーテクモゲームス
設立
1978年7月
代表者
代表取締役会長(CEO) 襟川 陽一/代表取締役社長(COO) 鯉沼 久史
決算期
3月
直近業績
売上高681億700万円、経常利益341億6600万円、最終利益268億5200万円(2023年3月期)
上場区分
非上場
企業データを見る
株式会社セガ
https://www.sega.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社セガ
設立
1960年6月
代表者
代表取締役会長CEO 里見 治紀/代表取締役社長COO 杉野 行雄/代表取締役副社長 内海 州史
決算期
3月
直近業績
売上高1916億7800万円、営業利益175億3900万円、経常利益171億9000万円、最終利益114億8800万円(2023年3月期)
企業データを見る