セコム、AGC、DeNA、NTT ドコモの4社がAIを活用して等身大バーチャルキャラが警備・受付業務を提供する「バーチャル警備システム」を開発 5Gを視野に入れ2020年発売予定



セコム<9735>、AGC<5201>、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、NTTドコモ<9437>は、世界初(※2019年4月現在 セコム調べ)となるAIを活用した警戒監視などの警備や受付業務が提供可能な「バーチャル警備システム」の試作機を開発。現在、2020年の発売に向けて実用化を進めていることを発表した。



▲「バーチャル警備員」。AIで来訪者への応対が可能。

日本社会は深刻な人手不足に直面しており、警備業においては有効求人倍率が約9倍(※厚生労働省「一般職業紹介状況(平成31年1月分)」)に達するなど、高まるセキュリティニーズと、それを担う人材の量的なアンマッチが生じている。

特に有人施設などにおいて、常駐警備員に頼った警備を維持・拡大していくことは人件費の影響によるサービス価格の高騰を招く恐れもあり、社会に広く「安全・安心」を普及させていくためには新たな解決策が必要となっていた。

今回開発された「バーチャル警備システム」は、常駐警備員が提供してきた業務のうち、警戒監視、受付などを、現実空間を映しこむミラーディスプレイ上に3Dモデルとして表示した「バーチャル警備員」が提供し、対処、緊急対応など熟練した常駐警備員ならではの能力と組み合わせて、新たな警備のあり方を実現するもの。

最新のテクノロジーの力で人の力を増幅することで、常駐警備員配置の効率化、有人施設における受付を含む警備強化をコストを抑えながら実現し、より多くの顧客ニーズに応えていく。

本サービスは、日本初の警備会社としてセコムがこれまで培ってきたセキュリティのノウハウに、AGC、DeNA、NTT ドコモ各社の最新技術を掛け合わせて実現したオープンイノベーションの成果となる。4社は「バーチャル警備システム」の2020年の実用化に向け、今後も連携を強化し「安全・安心・快適・便利」な社会の実現に向けて取り組んでいくという。


■「バーチャル警備システム」の概要



「バーチャル警備システム」は、世界初となる、AI を搭載したバーチャルキャラクター「バーチャル警備員」が常駐警備サービスを提供するセキュリティシステム。高反射率のミラーディスプレイに、等身大の「バーチャル警備員」の 3D キャラクターを表示。常駐警備員が提供していた警戒監視、受付などの業務を提供する。

「バーチャル警備員」が捉えた映像や周辺状況はリアルタイムでご契約施設内の監視卓(防災センター)に送信され、必要時には常駐警備員が対応する。これにより一層効率的な人員配置が可能になるとともに、運用コストの低減によりこれまで以上に幅広い業種の顧客に常駐警備サービスを利用してもらえるようになる。

本システムは、契約施設の内部エントランスの入り口等に設置して使用することを想定している。また、「バーチャル警備員」としては男性「衛(まもる)」・女性「愛(あい)」の2キャラクターがあり、用途によって使い分けることができる。

なお、将来的には第5世代移動通信方式(以下「5G」)を活用し、契約先施設外にあるセコムの遠隔監視センターで複数の契約先の監視を行うことも視野に入れられる。5Gを活用したサービスの実現に向け、2019年4月10日に「ドコモ5Gオープンラボ® Yotsuya」にて、5G環境での接続試験を実施した。

※「ドコモ5Gオープンラボ」は、株式会社 NTT ドコモの登録商標です。

■「バーチャル警備システム」の特長

1. 空間に溶け込む奥行き感とその中での存在感・立体感
周辺環境が写りこむ高反射率のミラーディスプレイの鏡面効果を用いて、設置場所に違和感なく溶け込みながら、奥行きのある鏡像のなかに、「バーチャル警備員」がバーチャルキャラクターとしての存在感と立体感を発揮。

2. 立哨による警戒監視
「バーチャル警備員」は目配せなどにより存在感を発揮しつつ周囲の警戒・監視を行い、犯罪抑止効果を発揮。

内部にカメラやモーションセンシングなど各種センサーを搭載しており、来訪者が顔をヘルメットなどで隠している場合はそれを AI が認識し、外すように注意を促す。また、「バーチャル警備員」からの映像は監視卓で確認することができる。

3. AI 技術を活用した受付
来訪者から話しかけられると、音声を認識すると同時に顔や持ち物なども画像で認識し、AI が判断。キャラクターのイメージに合わせ実際に語りかけるような合成音声により自動で応答する。

必要時には監視卓の常駐警備員が遠隔で通話して応対することも可能。また、相手の背丈に合わせて「バーチャル警備員」が腰をかがめて目線を合わせて応対する。

4. 緊急時には人による対応
急病人が発生し、その様子を「バーチャル警備員」が映像または音声で認識した場合、「バーチャル警備員」は自動的に施設内の監視卓に通報。常駐警備員が駆け付けて適切に対応する。

また、災害発生時にはミラーディスプレイに災害情報などを表示することもできる。

■各社の役割



・セコム
日本初の警備保障会社として、これまでに培ってきた常駐警備サービスの幅広い実績・ノウハウを活用して運用を構築します。全国にコントロールセンターを設置しており、遠隔監視センターとしての機能を提供できる体制を有しています。2017 年に策定した「セコムグループ 2030 年ビジョン」における「あんしんプラットフォーム」構想の実現に向けて、社会課題の解決に貢献する画期的なサービス・商品で「安全・安心・快適・便利」な社会の実現に向けて取り組んでいます。

・AGC
ガラス業界トップメーカーとして培ってきた材料技術、光学設計技術を用いて、独自の高反射率ミラーディスプレイを提供するほか、ミラーディスプレイと一体化したバーチャルロボット技術を提供します。

・DeNA
来訪者へ返答する際に自然に聞こえる音声合成技術を提供します。また、ゲームなどのエンターテインメント事業で培われた豊富な実績に基づき、「バーチャル警備員」の男女キャラクターデザイン原案を担当しました。

・NTT ドコモ
5Gに関する情報および検証環境を提供します。2019 年9月に予定されている5Gプレサービス開始以降、「バーチャル警備システム」とセコムの遠隔監視センターを5Gで接続する試験を行う予定です。また、来訪者の声を聞き取る音声認識サービスも担当します。
 
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1349億1400万円、営業利益42億0200万円、税引前利益135億9500万円、最終利益88億5700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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