【セミナー】ディライトワークスのマーケッターが語る市場の現状とこれからの課題 伸び悩みしている今が新たな技術やサービスが登場する重要な時期


 
ディライトワークスは4月19日、同社内にて、マーケッターのキャリアの相談やざっくばらんな情報交換や交流が行える「肉会(MEAT MEETUP)Vol.11 マーケッターキャリア相談会 ~一歩先のマーケティングを目指して~」を開催した。
 
本イベントでは、"新ゲームプロジェクト"や、『ミコノート』『タイニーメタル 虚構の帝国』の宣伝担当をする横内皇太氏と、「AnimeJapan 2019」の出展や、『Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-』の宣伝に携わる五味晋太郎氏が登壇。ゲーム業界市場の簡単な振り返りや、プロモーション活動実績を交えながら、やりがいや今後の展望について紹介した。
 
本稿では、イベント前半に行われたトークセッションについてのレポートをお届けする。
 
【登壇者】

▲横内皇太氏。2018年9月ディライトワークス入社。以前は2006年よりガンホー・オンライン・エンターテイメントにて、最初はPCオンラインゲームの運営部門に入社。その後、モバイルゲーム市場の拡大に合わせて、モバイルゲームを扱う部署に異動。モバイルゲームでのプロモーションの重要性に気付き、運営から宣伝へと業務内容を変更。同社から配信されたスマートフォンゲームのプロモーション全般に携わる。約8年、スマートフォンのプロモーションを中心に業務に従事。現在はコンシューマ、モバイル、プラットフォームを問わず、新規ゲームプロジェクトの宣伝業務に従事。
 

▲五味晋太郎氏。2019年1月ディライトワークス入社。以前は広告代理店クオラスにてメディアを中心とした業務を担当。モブキャストにてモバイルゲームのプロモーションを中心に業務を行い、マーケッターとしての経験を積む。その後、セガゲームスに入社し、スマートフォンゲームにおいてマーケティング、プロモーション業務を行い、RPG、シミュレーションゲーム、美少女カードゲーム、乙女ゲーム、スポーツゲームなど、様々なジャンルのマーケティングとプロモーションに携わる。現在は、イベント出展やボードゲームなど幅広いジャンルの宣伝業務に従事。
 
 

■次の新しい価値に対応するための重要なタイミング

 
プロジェクトマネージャー、ゲームプロデューサーなど、毎回テーマを設け特定の業種についてのキャリア相談会を実施しているディライトワークスの肉会。Vol.11ではマーケッターにフィーチャーし、登壇者によるゲーム市場の振り返り、直近のプロモーションの流れ、課題やポイント、さらにディライトワークスにおけるプロモーション業務などについてのトークセッションが行われた。
 
マーケティング業務はゲーム市場の状況や会社の業績に左右されやすい。そのため、横内氏と五味氏は本題であるマーケティングの話をする前に、まずゲーム市場の状況を振り返った。
 
まず、横内氏は「日本のゲーム市場規模の推移(2015年~2018年)」のグラフを提示。直近の市場規模は緩やかな成長曲線になっていることを説明し、その中でもモバイルのシェアが圧倒的に大きいことを説明した。さらに2018年の日本におけるモバイルゲーム市場では、iOSとGoogle Playの合計消費支出、ダウンロード数、月間アクティブユーザー数それぞれのベスト10を振り返り、新規タイトルが入りにくい市場になっていると語った。
 

▲2018年のゲーム市場全体の規模は約1兆6000万円。その約2/3をスマホゲーム(アプリ)市場が占めている。
 

▲人気タイトルが盤石な地位を固めており、新規タイトルが参入しにくい状態になっている。ダウンロード数では超ライトなゲーム、もしくは『荒野行動』や『PUBG MOBILE』など昨年大流行したタイトルが並ぶ。
 
これらを踏まえて、話題は「直近よく目にするプロモーション施策・売り出し方」へ移行。プレプロモーション、WEB広告など、様々な施策が挙げられた。
 

▲事前登録からリリース後まで、ゲームアプリ系で目にすることが多い施策たち。
 
もはや一般化したともいえるこれらのプロモーションに対して、横内氏は「テンプレ化が加速」していると指摘。過度なテンプレ化は商品本来の魅力を伝え損ねる可能性があり、ゲームというエンターテインメントの場で、「本当にこれで正しいのか?」と悶々としている方も多いのではないかと話す。しかし、マーケティングは効率化が大きな活動指針となっているため、実績のある有効的な傾向に偏るのはある意味正しい現象だとも語られた。
 
この停滞とも思える時期だが、実は次の大きな波が来た時に備える大切なタイミングだと横内氏。ハードの性能、技術の制限、インフラの限界などによって、ユーザーに提供する体験や表現に限界を迎えるため、ゲーム業界では数年おきに市場の伸び悩みが発生する。しかし、それは新しい技術やサービスが登場する前触れであり、マーケッターとしては次の新しい価値に対応する準備をするタイミングであると強調した。
 

▲ガラケーからスマートフォンへの移行を例に説明。
 
結論として、今後のゲーム市場を見据えた一歩先のマーケティングには下記が必要であると語られた。
 

▲新規はもちろん、既存の手法・手段の見直しや再研究も必要となる。
 
続いて「ディライトワークスにおけるプロモーションについて」という話題へ移行すると、今後ディライトワークスが新たなプロジェクトでパブリッシャーとして展開することに触れ、ディライトワークスがゲーム情報を発表することで、ゲームユーザーの方たちにワクワクしてもらえるようなゲームメーカーを目指すと語られた。
 
なお、対象はひとつのプラットフォームではなく、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」というディライトワークスの理念のもと、ゲームの特性に最も適したものを選択するという。
 
現在ディライトワークスでは規模の大小問わず、様々なプロジェクトが進行中である。『Fate/Grand Order』の宣伝チームに加えて、さらにマーケティング組織の拡充・整備・強化が課題であることが語られ、そのためにも、それらを支える優秀な人材の採用が急務であるとまとめられた。
 
最後に、ディライトワークスのプロモーション活動の実績を紹介。詳細は以下の通り。
 

▲3月23日、24日に行われた「AnimeJapan 2019」にて、ディライトワークスは新たなゲームプロジェクトを一挙に紹介した。そのうちの“新ゲームプロジェクト”は本会場にて初お披露目となった。
 

▲『Fate/stay night』15周年記念プロジェクトの企画のひとつとして開発中の、作品初ボードゲーム『Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-』。「AnimeJapan 2019」ではお客様自身でノベルティをはがして持ち帰ることができ、はがすと情報が解禁されるピールオフで、参加型の情報解禁を行った。
 

▲インディーズタイトルを扱う新レーベル『ディライトワークス インディーズ』。ディライトワークスがインディーズタイトルに挑戦することを意思表明し、今後の事業展開およびプロモーションの軸とするためにレーベルを発足。このレーベル発足は、横内氏をはじめとしたマーケッターからの提案だったとのこと。
 

▲『ディライトワークス インディーズ』第1弾タイトル『タイニーメタル 虚構の帝国』。Nintendo Switchダウンロード専用ソフト。
 

▲現在開発中の新ゲームプロジェクト。iOS/Androidにてサービス展開予定。「AnimeJapan 2019」にて初公開し、巨大なビジュアル展示を行ったほかPVも初公開。タイトルの正式発表に向け、プロモーション施策を準備中とのこと。
 

▲アジア中心に海外ディベロッパーとタッグを組む「MIRACLE POSITIVE STUDIOS」の第1弾タイトル『ミコノート』。「AnimeJapan 2019」で新PVを公開。2019年配信に向けてプロモーション施策を準備中。
 
これらを含め、様々なプロジェクトが同時進行しているディライトワークス。横内氏と五味氏は、新しいことに挑戦する、意欲溢れるプロモーションチームが必要であり、一緒に挑戦してくれる力強い人材を募集していると話して、トークセッションを締めた。
また、次回「肉会(MEAT MEETUP) Vol.12」の開催告知も行われた。詳細は下記の通り。
 

イベント:肉会(MEAT MEETUP) Vol.12 第5制作部キャリア相談会 ~"おもしろい"をつくるコツ教えます~
開催日時:2019年5月17日(金) 20時~

 
こちらもPeatixにて参加者募集が始まっているので、興味がある方は参加してみよう。
 

Peatix




▲後半の交流会では、イベントの参加者と登壇者が一緒になり、懇親会形式で美味しい肉料理を食べながら、交流や情報交換が活発に行われた。今回振る舞われた肉料理のテーマは、お好みのおかずをお弁当箱に詰めて作る「オリジナル肉弁当」。アスパラのベーコン巻きやミートボールのデミグラス煮込みなどが用意された。
 
 
(取材・文 ライター:長戸勲)
 


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企業サイト

 
 
ディライトワークス株式会社
https://delightworks.co.jp/

会社情報

会社名
ディライトワークス株式会社
設立
2014年1月
代表者
代表取締役 庄司 顕仁
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