【インタビュー】Apple Search Adsの機能にプラスアルファを―広告運用ツール「ASAPP」の利便性をマルジュ、デジタルガレージのキーマンが語る

マルジュが提供する「ASAPP(アザップ)」は、Apple社が提供するsearchAdsとのAPI連携による広告運用ツール。配信データを収集しレポーティングを可能にしたほか、広告情報・キーワードの登録や編集も実現。予算を含めた効率的な管理と、作業のスリム化を実現したツールだ。
 
昨今では、マーケティングの多様化が進み、様々な取り組みが各社で増えてきた中、いかに運用体制を築けるかも重要になってきている。
 
本稿では「ASAPP」を開発した株式会社マルジュの取締役営業統括本部長・松本勇氏と、これを実際に導入し、作業の効率化を実現したという株式会社デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーのスマートフォンマーケティング部長・藤友康臣氏へのインタビューを紹介する。
 

■作業効率化の鍵はキーワードプランナーと自動化


 
株式会社マルジュ
取締役営業統括本部長
松本勇氏(写真右)

株式会社デジタルガレージ
マーケティングテクノロジーカンパニー
スマートフォンマーケティング部長
藤友康臣氏(写真左)


――まずはお二人がどんな業務に携わっているのか教えてください。
 
松本氏(以下、松本):マルジュは、創業時(20年間)システム開発を行なっており、直近で力を入れているのはデジタルマーケティング支援のツールです。主に導入していただいているのは広告代理店になります。私はデジタルマーケティング事業の部長として、プロダクトの方針、戦略を担当しています。
 
藤友氏(以下、藤友):デジタルガレージでは約6年半ほど前にアプリのプロモーション事業を始めましたが、私はその頃にデジタルガレージにジョインしました。現在は、多様化しているクライアントの要望に応えられるように組織を編成して、アプリマーケティングの課題解決に取り組んでいます。

 
――お二人ともアドネットワーク市場に精通していると思いますが、最近の傾向、変化を感じることはありますか?
 
藤友:市場の傾向では、クライアントへの貢献という意味でも、アドフラウドをいかに排除するかが重要になっていると考えます。というのも、以前はインストール単価が安ければ良いという流れがありましたが、最近はクライアントのために、より真摯にプロモーションを企画し、実行しないといけない時期にきていると考えるからです。ツールを提供される側としてはなにかありますか?
 
松本:広告代理店やクライアントが求めている指標がどんどん細かくなってきている気はします。その指標に対してツールでどのように支援していくのかが一番の課題であり、役割だと感じています。

 
――その中でも、Apple Search Adsについてはどのように見ていますか?
 
藤友:クライアントの認識とApple Search Adsが実際にできること、クライアントがやりたいこととApple Search Adsで実現してほしいこと、それぞれにまだ食い違いがある印象です。そこをしっかりと説明させていただき、クライアントも納得した上でプロモーションを開始するのが重要だと考えています。
 
――食い違いを解決する方法も分かっていると。
 
藤友:クライアントの目標や計画にどのようにアプローチしていくか、そして私たちが提供させていただく価値の中で寄り添っていけるかが重要と考えています。
 

すり合わせられないと「なんでこんなことやるの?」という事態になってしまいます。これはどの広告手法でも言えることですが、Apple Search Adsでもそのようにすり合っていないケースがあると考えています。
 
――ASAPPがどういったツールなのか、あらためて教えてもらえますか。
 
松本:日本でApple Search Adsが出始めたのが昨年の8月で、同時期に弊社で運用をしている中で、痒いところに手が届かない印象を受けました。日本特有の管理の仕方に対応するのが難しく、そこを補うツールとして開発したのがASAPPです。レポート周りは当然ですが、検索広告ですのでキーワードの選定サポート、そして運用の自動化を実現できるツールです。
 
――ちなみに、ASAPPを開発しようと考えたきっかけはなんだったのですか?
 
松本:Apple Search Adsがリリースされたニュースを見たとき、ふと「ツールはあるのかな」と思い調べてみました。その結果ツールはあったものの、そこまで完成されてはいませんでした。市場的に伸びることは間違いないのです、先手を打つメリットは充分あると考え開発に踏み切りました。

――他のサービスと比べて、どんな長所があるのでしょう。
 
松本:一つは、機械学習を導入をしたキーワードプランナーです。ゲーム会社や代理店がよく使っているTwitterのデータを学習させて、キーワードをツール側から提案できます。そして二つ目は、運用の自動化です。複数案件を取り扱う代理店は、ずっと管理画面を眺めていることは難しく、そこをルールに則って自動化することが可能です。
 

――そんなASAPPを、デジタルガレージさんも導入していると。
 
藤友:松本さんとは以前からお付き合いがあったんですけど、急にメールが来て(笑)。
 
松本:メールさせていただきました(笑)。かなり感触がよくて、打ち合わせの場も作っていただいて…実際に会うのは3年ぶりくらいでしたよね。
 
藤友:久しぶりでしたね。お会いしたときにはASAPPの機能面だけでなく、「どんな機能があれば良いか教えてほしい」ともおっしゃっていただいて、それで私は「めちゃくちゃわがまま言いますよ」と返したのを覚えています(笑)。私たちの要望で追加された機能はかなりの数になると思います。

松本:ASAPPの中心である機械学習と自動化のところでは、藤友さんのチームの意見も大いに入っています。
 
藤友:ASAPPの機能が良くなれば私たちとしても使える範囲が広がりますし、松本さんにとっても、ツールが売れる可能性が高くなりますよね。ですから、二人三脚でやっていきましょうと考えるのは自然な流れでした。今でも随時メンバーからの要望を事細かに伝えています。

 
――「急にメールが来た」というお話でしたが、松本さんとしては、藤友さんならASAPPを活用してくれるという確信があったのですか?
 
松本:そうですね。ASAPPの特性と藤友さんのチームの特性が上手く噛み合っていると思いまして。
 
藤友:これまではApple Search Adsの機能を上手くカバーしながら運用を行っていました。松本さんもそこを察してくれたんだと思います(笑)。

 

■ツールを日々進化させることが使命

 
――実際に導入してみての手応えはいかがですか?
 

藤友:作業効率というか、スピード感が以前とは違います。結果自体は以前と変わらなくても、その結果を出すまでのスピードが上がり、その分配信するボリュームが増えている印象です。スピードという意味では、導入を決断してから実際に導入されるまでも早かったですね。
 
松本:新しい市場なので、導入してもらうまでのスピードはかなり注意しているところです。弊社としては開発者を1、2人アサインして、専属の担当者として毎月バージョンアップを行うようにしています。デジタルガレージさん側の手間をいかに減らせるかをテーマに頑張っています。
 
藤友:機能追加や改善の要望も頻繁にしています。

松本:やはりキーワードプランナーに関する要望は特に多くいただいている印象です。ASAPPとしても目玉機能であり、使いこなせたら手間が減るのは間違いないですからね。

 

藤友:最初に提示していただいたキーワードプランナーが、個人的にまだまだという感触だったんです。弊社のメンバーも試行錯誤しながら使っていて、もちろんマルジュさんのスタッフも繰り返しアップデートをしてくれていますので、いい相乗効果が生まれているんじゃないでしょうか。
 
――導入する際、難しい点はありませんでしたか?
 
藤友:嬉しいことに金額もそんなに高いわけではなく、本当にスムーズに導入できました。
 
松本:料金形態も流通額に応じての従量課金ではなく、アプリ単位の価格にしております。アカウントは即日発行できますし、なによりエンジニアだけでなく、私のような営業の人間でも発行できる仕様になっております。使用する方の、使いたいモチベーションを下げないことを重要視しているところです。
 

――月々のアップデートをしているというお話でしたが、日々の細かな更新も行っているのですか?
 
松本:レポートのデータ量が増えると必然的に管理画面が重くなってしまうので、そこのチューニングは日々行っています。
 
――藤友さんはASAPPを使ってみて、どんなマーケティングに適していると感じましたか?
 

藤友:Apple Search Adsの仕組みを活かしていることが大前提ですが、そこから付随してASOにも活かしやすいと思います。また、キーワードプランナーを作っていただいたおかげで、マーケティング全体に示唆を与えてくれるツールになったと感じます。
 
弊社もいろんな場面で使わせてもらっています。今ではApple Search Adsに関わらないところでも使えるまでにアップデートされていると感じています。
 
松本:それは私たちとしても想定外の活躍の仕方でした。今は代理店に導入してもらうケースが多く、そこを経由したアプリ数で言えば30〜40にのぼります。ASAPPの進化も続いており、まだまだ伸びる余地はあると思います。

 
――他の会社から要望が送られてくることも?
 
松本:はい。とはいえ要望の方向性はどれも同じで、手間を減らしたい、スピード感を上げたいという意見が目立ちます。作業する時間を減らして、プランニングに時間を回したいのはどの会社も同じですよね。
 
藤友:今は私たちが望んだことをすぐに叶えていただけるので本当に助かります。
 
松本:私たちはあくまでも支援側で、決して独りよがりにならず、皆さんが悩んでいる部分を解決していきたいです。ですので、利用されている会社さんには要望を送ってもらう際に優先順位を付けていただいて、それに基づいてどこを改善するか決めています。
 

藤友:それともうひとつ、ASAPPが日本で生まれ、日本人が開発するツールであることも大きいです。分からないことがあっても、問い合わせをすると30分もかからず返答してくれますし、対応も早いです。
 
――直近で感じている課題はありますか?
 
松本:ゲーム会社さんとAppleさんが一気通貫になりきれてないのは、私も感じています。Apple Search Adsがリリースされたばかりのころ、いろいろなところで使われていると思ったらそこまでの勢いは感じませんでした。
 
これは藤友さんがおっしゃっていた認識のズレが原因であり、想定外のところでもあります。使い方をしっかり把握すればASAPPの価値も上がると思うので、引き続き粘り強くサポートしていきたいですね。

 
――藤友さんとしては、今後のASAPPに望むことはありますか。
 
藤友:要望としてすでに出しているところでは、ASAPPを他のツールにも連携できればと考えています。よりデータが簡単に見られるようになれば、レポート作成で人が手を加える場所はさらに少なくなりますから。
 
松本:現状で手が空くようになった、という実感はありますか…?
 
藤友:プランニングに使える時間は間違いなく増えました。あとは地道に手作業で作成するものと比べ、出来上がるレポートのボリュームが圧倒的に増えました。

 
――なるほど。では、松本さんが考えているASAPPの今後の展開についても教えてください。
 

松本:完全な自動化ですね。導入したら勝手にキャンペーンが作られて、勝手に配信されて、勝手に最適化されるのが将来の目標です。しかし機械と人間では状況の流れが違うので、自動化しつつも人間の考えが入り込めるシステムを作りたいです。
 
藤友:実現したら面白いですよね。私たち使う側としては、お客様に提供できる価値をどれだけ向上できるかに尽きます。ツールはあくまでツールであって、価値を提供できなければ意味がありません。今後も二人三脚で、ASAPPを育てていけたら嬉しいです。

 
――アップデートのロードマップもすでに決まっているのですか?
 
松本:おかげさまでビッシリと埋まっていて、週に一度はなにかの機能をアップデートすることを目標に動いています。ツールにゴールはなくて、日々進化させることが使命です。
 
藤友:アップデートを本当に頻繁に行っていることに驚いています。弊社はASAPPをプロトタイプのころから使っていて、すでに3、4ヶ月が経過しているのですが、もう全然違うツールになっています。昔と比べてタブの数がすごい増えましたからね(笑)。わがままな要望にも応えてくれた結果だと思います。
 

松本:いえいえ…(笑)。わがままとは言いますけど、私たちからすれば貴重な意見であることは間違いないので。ツールの開発中、お客様がどんな機能を欲しがるかは想像するしかないじゃないですか。

想像しているうちに、皆さんが望む機能と、私たちが入れたい機能がズレてくるというのはよくある話です。それを修正しながら開発を続けられるので、間違いが起きないのはありがたいし、最初期に声をかけてよかったと思っています。

 
――最後に読者へ向けてのメッセージがあればお願いします。
 
松本:使ってみたら分かることが多くあると思います。現状のSearch Adsでもなんとかなるとは思いますが、一回トライアルを使っていただければ実感できるはずです。逆に言えばASAPPの利便性は、使ってみないと分からないです。
 
藤友:代理店やWeb広告に求められることが変わりつつあると考えています。そんな中で、クライアントと目線を合わせて目指したい未来を実現したいです。この考えに共感してくれる方とともに、いろんなことを実現していきたいですね。



 

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