SPAJAM2015優勝者の能代和哉氏が明かしたハッカソン攻略ノウハウ…チームビルドから企画・開発、プレゼンまで



モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は、3月16日に開催したイベント「SPAJAM 2018 キックオフ MEETUP」において、SPAJAM2015優勝者でViRD創業者の能代和哉氏(写真)が「起業してリリースしたアプリの紹介とハッカソンを勝ち抜くノウハウ」と題した講演を行った。ハッカソンの最中だけでなく、事前準備の重要性も指摘するもので、ハッカソンに初めて参加する人はもちろん、すでに何度も参加している人にとっても参考になることが多いのではないか。

まず、SPAJAM2015の開催当時、DeNAに勤務していた能代氏は、以前、寿司屋で一緒にバイトしていた仲間(女性2人)に声をかけて、「VRつくり隊」というチームを結成し、『World Portal』という作品を開発して見事に優勝した。当初は「無料で温泉に行けるらしい」ということで気軽に参加したそうだ。SPAJAM2015では、まだ珍しいガジェットであったリコーの「Theta」を活用した点が注目を集めていた。
 


SPAJAM優勝のご褒美として参加したシリコンバレーツアーでは、自分たちの開発したアプリのプレゼンテーションを行った。スケジュール的にも非常にハードだったが、普通に訪問しただけではとても会えないような、現地の名だたる企業の「すごい人」と会ってプレゼンテーションを行なうことができて、とても有意義だったと振り返った。

シリコンバレーに行く前にオンライン英会話などで勉強したそうだが、プレゼンテーションをやってみて「変に格好つけるよりシンプルに伝えることが大切」だと思ったという。また、相手に時間を取ってもらっているので、相手に何を求めるのか、何を伝えるのかをしっかり考えておく必要があると述べた。またSNSなどでつながっておくことも今後に生かせるという。

帰国後、VRコンテンツを作るViRDを創業し、現在ではシリコンバレーのイベントなどに単身で乗り込んでプレゼンテーションも行えるようになったそうだ。「SPAJAMの経験で活かしてシリコンバレーでプレゼンができた。英語ができなくてもなんとかなるという度胸がついた。成長を積み重ねて成功体験を重ねたい」。
 


 
■ハッカソンの攻略ノウハウ(1) 事前の準備

続いて、ハッカソンの勝ち抜くノウハウについて紹介していった。ハッカソンでは様々な要素が重要になってくるが、事前に用意できることとして、「チームビルド」がある。チームを作るにあたって、プロダウトのターゲットユーザーに近い人や女性、別業界の人など異なる属性の人がいることが重要と述べた。「ITに疎い人が見ても凄いと思えるプロダクトにする」。
 


チームメンバーは、ケンカができる人が良いとのこと。2017年のSPAJAMで優勝した市川電産が夫婦での出場だったことを引き合いに出し、「ハッカソンは夫婦チームが強い。何でも言い合える関係であるから妥協や遠慮がない。プロダクトに対してコミットできること、真剣に議論できるメンバーがいることが重要」とした。
 


もう一つの重要な要素として、「決める人を決めておくこと」をあげた。アプリ開発で企画や細かい仕様の決定、使用の実装の是非など迷うところが多々でてくる。そこであらかじめ決めてくれる人がいるとスムーズに進行しやすいという。担当もしっかり分けておくことで、それぞれに責任ができて、意思決定もしやすくなるそうだ。
 


 
■ハッカソンの攻略ノウハウ(2) 企画開発

ハッカソンが始まったら、最終的なアウトプットの形を先に考えることが重要と指摘した。先にアウトプット=審査員に何を見せるか、どこで驚いてもらうかを明確にしておくことで、プレゼンで何を示すか、仕様の追加の是非などを判断する基準にもなる。「サービスを作る前にプレスリリースの文章を考えるような感じ」。
 


ハッカソンの最中、審査員からアレにも使えそう、これと組み合わせたらというアイディア=ポジティブなシードアイデアにサプライズ性が加えると驚きが生まれやすいとのこと。
 


技術トレンドにのる重要性も強調した。常日頃、アンテナを張って新しいOSの機能やデバイスなどを使うことで、これまで見たことのないプロダクトが生まれてくる。ただ、他のチームと被る可能性があるため、「出し抜くために武器を磨いておく」。能代氏はThetaのライブラリを自前で作っておいたそうだが、これがSPAJAMで大きな武器になったと明かした。
 


 
■ハッカソンの攻略ノウハウ(3) プレゼンテーション

ハッカソンでありがちなアンチパターンを紹介した。

・自己紹介が長い
少ないプレゼンの時間を自己紹介に費やしてしまうのはもったいない。ただし、プロダクトが自己紹介にマッチングする場合は長くなってもいい。

・できていない機能をあえていう。
ときどき、自分からこれができてないと報告してしまうチームがあるがマイナス要素が大きいという。むしろ、今後の発展要素のひとつに入れていくほうが良いということだ。

・デモが動かない
する側も見る側もただ辛い。対策としては、デモの動作確認をしっかり行っておくことが大事とした。例えば、実際にプレゼンを行う場所に移動して動作確認をすることが重要だという。Wi-Fi関係のトラブルの可能性も考慮に入れてオフラインで動作できるようにしておくことも重要とした。また最悪場合も考慮し、ムービーを作っておくことも大事とした。

・API連携の説明が多い
裏の仕組みの説明は簡潔にとどめ、API連携で何ができるかを説明したほうが良いという。頑張って作っただけについつい長く説明し勝ちになるが、注意が必要になりそうだ。

・勝つことにこだわりすぎないこと
ハッカソンでは出場者同士の出会いやつながりが大事で、ハッカソンの勝ち負けよりも重要なこととした。「わざわざ土日を利用してアプリを作るなんてヤバイ人の集まり。なかなか交流できる機会がないので活かすべき」


 
■ViRDの紹介

最後にViRDのプロダクトの紹介を行った。
 


 

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