梶原吉広社長インタビュー「世界のソーシャルゲーム市場に挑みます!」【GMS後編】

これまで2回にわたってお送りしてきたGMSスタッフインタビューだが、後編となる今回は、梶原 吉広 社長に登場していただいた。外部から見てソーシャルゲームで大きな成功を収めているかに見えるGMSだが、これまでのソーシャルゲームへの取り組みや今後の展開について聞いてみた。     ■「渋谷クエスト」から始まったソーシャルゲーム事業 ---: 「大争奪!!レジェンドカード」や「大進撃!!ドラゴン騎士団」など御社のソーシャルゲームは非常に好調ですね。まず、これまでのソーシャルゲームの取り組みを教えて下さい。 梶原氏: GMSは、2010年2月の「モバゲータウン(現「Mobage」)」のオープン時から参入しています。最初にリリースしたのは、「渋谷クエスト」です。GMSではかつてモバイル向けSNS「REAL」を運営していたことがあり、そこで配信していたソーシャルゲームになります。ゲームの内容は、タイトルから想像が付くと思いますが、家庭用ゲームソフトの某有名RPGのような感じでした。敵キャラを渋谷系のキャラクターにして、倒した敵をコレクションするゲームでしたが、DeNAさんの「怪盗ロワイヤル」を遊び、これは大きく変えなければならないと考えました。 ---: どのような変更を加えたのでしょうか。 梶原氏: 私たちは、ゲームというものをコミュニケーションのためのコンテンツと位置づけていたものの、ゲーム要素はある程度は必要であると考えていました。しかし、「怪盗ロワイヤル」は、そういう要素が少ないのに、実際に遊んでみると、ゲームで遊んでいるように感じられました。それ以来、ソーシャルゲームにとって重要なのは、成果が短時間で得られることと、他の人とのつながりであると考えるようになりました。このため、「モバゲータウン」で提供した「渋谷クエスト」は、「怪盗ロワイヤル」が参考になりました。 ---: リリース後の状況はいかがでしたか? 梶原氏: リリースした直後から、予想以上のユーザーに登録していただき、会員数はあっという間に50万人となりました。ただ、サービス開始当初、サーバーがよくダウンしましたね。「モバゲータウン」に参加することで、トラフィックが伸びると想定し、サービス開始前にできるだけの準備をしたつもりだったのですが、サービス開始後2時間くらいでダウンしました。翌日復旧させても、すぐにダウンして・・・の繰り返しでした(笑)。今考えるとソーシャルゲームのサービスとしては、かなり問題がありましたね。あの時は大変でしたが、本当に貴重な経験ができました。 ---: その後、リリースされたのは、「大乱闘!!ギルドバトル」ですか。 梶原氏: そうです。このゲームは、「ギルド」と呼ばれるユーザー同士で作るチームをベースにしたソーシャルゲームです。他のユーザーとの「つながり」を重視した仕組みとすることで、ユーザーは継続的にログインして遊んでくれると考えたのです。新しい仕組みでしたので集客に不安がありましたが、ARPUは高い水準になると考えていました。しかし、サービスを開始すると、登録ユーザー数は想定を上回ったうえ、ARPUについても非常に高い水準となりました。その後、「大激闘!戦国バトル」、「大革命!!バトルレジスタンス」、「大人の渋谷クエスト2」などバトルゲームをリリースし、「大争奪!!レジェンドカード」や「大進化!!英雄カードバトル」などカードゲームをリリースしました。最近では「大進撃!!ドラゴン騎士団」というタイトルもリリースしました。運営成績はかなり良好ですね。   ■スマートフォン対応とユーザーから支持を集める要因について ---: 最近では、スマートフォンの対応にも力を入れておられますね。 梶原氏: はい。現在ですと、「大乱闘!!ギルドバトル」、「大激闘!戦国バトル」、「大革命!!バトルレジスタンス」、「大争奪!!レジェンドカード」、「大進化!!英雄カードバトル、「大進撃!!ドラゴン騎士団」の6タイトルが対応しています。いずれもWEBアプリです。画像の最適化やUIの見直しを行いましたが、あくまでフィーチャフォンがベースになっています。今後は、スマートフォンにもっと最適化したコンテンツとして提供したいですね。HTMLとCSSをきちんと使えば、ある程度のゲームはできるのです。もちろん、ネイティブアプリの本格的なゲームには及びませんが・・・。 ---: スマートフォンの利用状況はいかがでしょうか。 梶原氏: そうですね。こちらは思ったよりもユーザーが多いですね。これはDeNAさんも指摘していることですが、ARPUはフィーチャフォンとそれほど変わりません。フィーチャフォンから移行したユーザーが多いので、レイアウトを大きく変えなかったことがかえって良かったのかもしれません。また、フィーチャフォンからスマートフォンへの移行は、当初想定していたよりも早い、という印象です。課金率についても、フィーチャフォンとほぼ同水準ですね。 ---: ユーザーから支持されている要因についてはどう考えていますか。 梶原氏: うーん。それは色々とあるのでしょうが、ひとつは、ゲームの仕組みとして、新しいユーザー体験を提供するようにしていることと、ソーシャルゲームの運営をより重視している点でしょう。GMSでは、開発から運営まで同じメンバーが担当し、さらに運営に入った段階で人数を増やします。GMSのタイトルは、イベントの開催頻度が多いため、イベントの実装作業が行う人員が必要になるためです。それとデータの分析を行うスタッフが必要になるためでもあります。 ---: 新しい体験というと、たとえば先ほどお話に出た「ギルドバトル」のような・・・。 梶原氏: はい。「ギルドバトル」であれば、「ギルド」というチームをベースにしました。それ以前のバトル系ゲームは、チーム要素はありましたが、あくまで個人がベースでした。それに対し、このゲームでは、ゲーム登録時から1人でギルドがつくれるなど、ユーザーは、必ずどこかのギルドにいる状態から始まります。また、それ以前のバトル系ゲームは、コレクションを目指すゲームが多かったのに対し、「ギルドバトル」ではチームとして遊ぶことになります。全く知らない方からすると、一見同じように見えるゲームですが、普段遊んでいるユーザーからすると全く違うゲームに見えるはずです。 ---: 「新しい要素」を入れる際に注意する点はどういったところでしょうか。新しいだけではだめですよね。 梶原氏: もちろんです。GMSでは、サービスの仕組みとして、「ユーザーにどう遊んでもらうか」を重視しています。どんなにグラフィックがよくても、プログラムが優秀でも、基本的な仕組みが駄目では仕方がありません。ゲームの仕組みは、できるだけシンプルに、わかりやすくするよう心がけています。 ---: データ分析を重視する理由を改めて教えてください。サポートにくるお問い合わせやサークルに書かれる意見だけでは駄目なのでしょうか。 梶原氏: カスタマーサポートに寄せられるお問い合わせや、公式サークルなどに書かれる情報は非常に貴重ですし、実際、ゲームの改善には大いに役立っています。しかし、ゲームに不満があったり、やめてしまったりしたユーザーのほとんどは、そうしたことをしてくれません。ゲームがつまらなかったら、何もいわずにやめる方が圧倒的多数かと思います。GMSは、ユーザーがどう遊んでくれたのか、どこでやめてしまったのか、といった情報をデータとして記録し、それを分析することで運営の改善につなげています。「ユーザーの声を聞く」とは、ちゃんとデータを分析することなのです。また、GMSは、ゲームのジャンルを絞っているので、成功事例や失敗事例に関する情報共有が比較的、容易であるというメリットがあります。 ---: 外部から見ていて、かなり運営に力を入れていると思いましたが、お話を聞いていると予想以上ですね。 梶原氏: コンテンツの寿命は運営次第で決まりますから、運営は本当に重要です。そこをしっかりしてれば、世間でいわれているほど、ソーシャルゲームの寿命は短くありません。そのためには、データに裏付けられた理論、仮説を持って分析し、適切な施策を打つことが重要です。とりわけ、コンテンツが成長期にあるのか、安定期にあるのか、といったいわゆるプロダクトライフサイクルを見極めることが重要です。   ■モバイル業界は10年に1度起こるような転換期 ---: 国内SAPとしてはトップクラスの実績をあげていらっしゃいますが、今後の展開を教えて下さい。 梶原氏: 正直申し上げて、収益こそ伸びていますが、まだうまくいっているという実感はないですね。GMSはスタート地点に立ったばかりだという認識です。いま、モバイル・インターネット業界は、10年に1回くらいに起こるような、大きな転換期にあると考えています。PCは、世界中でも限られた人しか使っていませんが、携帯電話は、多くの人が使っていますよね。スマートフォンが携帯電話の主流になれば、それを使ってインターネットにアクセスできるようになります。世界中にサービスを提供できるチャンスが生まれています。 ---: となると、やはりスマートフォンと海外展開がキーワードになるのでしょうか。 梶原氏: そうですね。GMSでは、「Show Our Value to the World」をスローガンに掲げ、日本だけでなく、世界のソーシャルゲーム市場に挑む方針です。まず挑むのは、米国のソーシャルゲーム市場になるでしょう。米国市場は現在、ほとんどがPC向けとなっていますが、今後はスマートフォンに置き換わっていくものと考えられます。勝てるチャンスは十分あります。エンジニアに求められるものは高くなるでしょうし、脳がはちきれるほど考えて行動する必要があります。しかし、かつての「渋谷クエスト」に参入したときのように、エキサイティングで貴重な体験ができるはずです。当社に入社する方には、ぜひこういう経験を味わってほしいと思っています。もちろん、能力的にも大いに成長して、世界で通用する人材になれるはずです。採用にはますます力を入れていきます。我こそはと思う方はぜひ応募してください!    
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  ■過去の記事   【前編】ソーシャルゲームのデータベースマーケティングとは?   【中編】「大争奪!!レジェンドカード」の大ヒットの秘訣を探る
株式会社gloops
http://gloops.com/

会社情報

会社名
株式会社gloops
設立
2005年8月
代表者
李 仁
決算期
12月
上場区分
非上場
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