【Metapsセミナー②】BEAR MediaのEric Chen氏が明かす台湾市場の攻略法…カギはスピード・ローカライズ・全方位マーケティング



メタップス <6172> は、2月23日、東京都内で、ゲームデベロッパー向けのセミナー「~世界で戦う!~月商150億円スーパータイトルの海外戦略」を開催した。中国と韓国、台湾からのゲストが登壇し、各国の市場環境とともに、月150億円を稼ぐスーパータイトルの戦略を具体的に紹介した。今回、台湾市場に関する講演をレポートする。

 

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台湾市場については、台湾のBEAR MediaのCEOであるEric Chen氏(写真)が「台湾マーケットの動向と発展」と題して講演した。BEAR Mediaは、2013年に設立され、15年にメタップスと戦略提携を行なった。もともとは広告代理事業がメインだったが、現在ではゲームのパブリッシングも手がけている。
 


 
まず、台湾と香港市場の特徴は紹介した。台湾では、ターゲットユーザーを考える際、コアユーザー、準コアユーザー、一般ユーザーと分け、コアユーザーからアプローチを行なっていくという。そこから準コアユーザー、一般ユーザーに広げていく。この点は日本と大きく変わるものではないだろう。
 



それでは、どういったコアユーザーにアプローチするか。具体的な例として、Ourpalmの『THE KING OF FIGHTERS '98UM OL(以下、KOF)』と、NetEase Games 『陰陽師』の事例をあげた。両タイトルともに、コスプレイヤーの存在が重要になっているそうだ。『KOF』は、30代のユーザーには思い出深いタイトルであり、『陰陽師』はいわゆる二次元と呼ばれるユーザー層となっている。どういうコスプレが評価されるのか調査した上で作り込んだコスプレを用意していったという。またオフラインイベントやイラストの投稿が重要であるとも指摘した。
 


 
準コアユーザーには、いわゆるYoutuberのような存在による実況放送が有効だという。人気の実況者がどういうゲームで遊んでいるかを気にすることが多いという。このため、ゲーム実況をテレビCMやゲーム内のメッセージとを結びつけながらやることが大事になっている。
 



一般ユーザーに広げていくときは、オンラインとオフラインを問わずいろいろな手法を使うことが大事だ。例えば、屋外での看板や、駅や電車、バスといった交通広告をよく用いている。『KOF』で遊んでいたのは、ホワイトカラーではなく、大学生やブルーカラーだったが、夜の市場で宣伝イベントを行なったこともユーザーの増加に一役買ったそうだ。
 


 
続いて、台湾のモバイルゲーム市場の説明となった。台湾のモバイルゲーム市場は、2016年は7億USドルだったが、2017年には15%増の8億USドルに拡大する見通しだ。モバイルゲームの普及と、オンラインゲームからモバイルゲームへの移行などが主な増加要因になる。
 


 
台湾の人気ゲームのライフサイクルと見ると、初期では、IPタイトルが有利にすすめることができ、ライフサイクルの後半になってくると、ソーシャル性を持ったゲームと、競技性のあるゲームが人気を持続しやすい特徴があるという。
 


 
最後に、台湾市場で成功するための重要なポイントとして、
 
・運営のペースが日本に比べて非常には早い。日本では、イベントに1週間から2週間係るものが珍しくないが、台湾では平均3~5日のペースで終わるという。日本に比べて運営の速さが求められる。
・全方位的なマーケティング。色々なマーケティング手法にお金を投じるのではなく、いかにコアユーザーにピンポイントで獲得できるのかがポイントになる。
・ローカライズ。コミュニティの運営をローカルで行うことと、ローカルのキャラクターを入れることもしくはローカルのカレンダーと合わせてイベントを行うこと。
 


 
と指摘して講演を締め括った。現地ユーザーの恐ろしいほどのコンテンツ消費スピードにコンテンツ供給が対応できるかどうかが大きなポイントという印象を受けた。この点は、日本のゲーム開発会社にとっても課題になりそうだ。


 

(編集部 木村英彦)

株式会社メタップス
https://metaps.com/

会社情報

会社名
株式会社メタップス
設立
2007年9月
代表者
代表取締役社長 山﨑 祐一郎
決算期
12月
上場区分
東証グロース
証券コード
6172
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