【インタビュー】GMO NIKKOが目指すスマートフォンアプリの新たな成功法…日本国内独占販売権を取得した解析ツール「Apsalar」の実力に迫る


GMOアドパートナーズ<4784>は7月16日に、米国・Apsalar社よりスマートフォンアプリ解析ツール「Apsalar」の日本ローカライズ権、および日本国内での独占販売権を取得したことを発表した。そして本ツールとコンサルティングサービスを、GMOアドパートナーズの連結会社でインターネット広告代理事業を展開するGMO NIKKO株式会社が提供する。「Apsalar」とは、ユーザー行動の計測・分析に優れており、英語圏ではすでに幅広い企業がスマートフォンアプリに採用しているアプリ解析ツールだ。

北米を中心としたグローバルで高い評価を得ている、広告効果測定とアプリ内解析を兼ね備えた「Apsalar」。今回、本ツールの販売およびマーケティング施策の提案を担当するGMO NIKKOの谷本秀吉氏(写真右)、中村智彦氏(写真左)の2名にインタビューを行い、本ツールの魅力や、海外と日本でのアプリマーケティングの違いなどさまざまな話を聞くことができた。

実は「Social Game Info」では、7月にも両氏にインタビューを行っている。そのときはスマホアプリ広告効果測定ツール「GMO MARKETING SUITE (GMO MARS)」の話題が中心だったが、「Apsalar」の話題が少し飛び出したことを覚えている読者もいるかもしれない。今回は当時よりもさらに踏み込んだ話ができたので、ぜひ読み進めてほしい。

 

■「Apsalar」はマーケティングのサイクルを速めるためのツール


――:本日はよろしくお願いします。まず、Apsalarの独占販売権を獲得した経緯を教えて下さい。

谷本氏:国内提供の独占契約に至るきっかけは、グローバルでアプリ解析領域における有力企業を探していたところ、サンフランシスコに拠点を構えるApsalar社の紹介を受け、直接現地サンフランシスコに行き、商談しました。

実はApsalarの日本国内独占販売権を獲得するにあたっては、先方は複数社と商談を重ねていたようですが、その中で私どもGMOインターネットグループが選ばれました。選ばれた主な理由は、第一にGMOインターネットグループでは、Gゲー(GMOゲームセンター)など、ソーシャルゲーム事業を展開しており、ゲームデベロッパーサイドに必要なマーケティング上の成功要因を理解していた点がありました。

またもう一点は、私たちは以前にも「SiteCatalyst」や「Marin Software」など、海外ツールを用いたマーケティングコンサルタントサービスを展開し、数多くの実績があったことも大きかったです。


――:Apsalar社は以前から日本での展開を考えていたのですか?


谷本氏:実は英語圏以外の国での展開は日本が初となるのですが、アメリカでも日本のアプリマーケットが世界最大規模の市場であることは知れ渡っているので、どうしても展開したいという目標を持っていたようです。


――:なるほど。では、Apsalarにはどのような特徴があるのでしょうか?

谷本氏:広義の意味ではデマンドサイドプラットフォームという位置づけですが、厳密には広告効果測定とアプリ内解析を兼ね備えたアナリティクスツールです。現在の国産ツールを見てみると、ほとんどが広告効果測定の機能に絞られており、アプリ内解析は1SDKではできません。ユーザーさんのイベントやチュートリアルの通過率やセッション時間の計測など、多くの解析機能を持っている点がApsalarの強みですね。

中村氏:アプリの分野をゲームとゲーム以外に分けてお話させて頂きますと、ゲームアプリはマネタイズモデルが比較的確立されているので、アプリ内解析に力を入れなくとも一定の売上成果は上げられております。

しかし、ゲーム以外のアプリとなると、配信したあとの分析がまだできていない状態です。そのため、App StoreとGoogle Playはどちらも売上額の9割以上をゲームアプリが占める状態になっています。ここから見えてくる課題は、ゲームアプリではロイヤルユーザーの確保による売上向上と、グローバル展開によるマーケティング対応の拡大があります。そしてゲーム以外のアプリは、アプリそのものの収益であったり、収益貢献化などですね。


――:その課題に対して、Apsalarが役立つと。
 
中村氏:はい。スマートフォンアプリ最適化のためには、「集客の最大化」「成果の最大化」という2つの分析視点が必要になります。「集客の最大化」は、既存のツールにもある広告効果測定が担う部分であり、どこのメディアからの流入が効果的だったかを測ります。対するアプリ内解析は「成果の最大化」であり、谷本も言っていたとおり既存のツールにはほとんどないものです。

ゲームアプリ以外の多くはアプリ内の解析をやっていないケースが多く、やっていても同じツールではなく自社で分析システムを開発構築しているケースが多いです。ただ、その独自ツールの開発、維持にもそれなりに多額のコストと人的リソース負担が生じます。



谷本氏:私たちはそこにApsalarを通じ、マーケティングサービスを提供する価値があると思っています。自社で時間をかけてシステムを構築するよりも、外部からツールを導入し、マーケティングのサイクルを速めたほうが、ビジネスとしてのゴールに最短で近づけるはずです。


――:解析だけでなく、効率化という視点でも優秀なのですね。


中村氏:現状のアプリを見てみると、計測系ツールのSDKについて広告効果測定とアプリ内解析で分けて導入しているという実態をよく耳にするのですが、そうなるとその分、導入に伴う工数がかかる上に、最悪お互いが干渉した場合は計測が上手く取れないこともあります。2つのツールで同じことをやっているはずなのに、計測値が違う」という経験をした方も多いと思います。Apsalarであれば、重要な2つのステップを1SDK、所謂1つのツールできますし、チェックするスタッフの人数も抑えられるので効率的ですね。


 

■「コホート分析」「ファネル分析」の特徴を持つアプリ内解析


――:Apsalarの機能について教えて下さい。

中村氏:Apsalarのアプリ内解析については、大きく分けて「コホート分析」と「ファネル分析」という2つの手法が存在します。「コホート分析」は、アプリ内で行ったキャンペーンや施策の良し悪しを、可視化できる特徴を持っています。

例えば、イベント期間中に獲得したユーザーやマネタイズに貢献したユーザーがアプリを継続的に使っていくか、マネタイズしていくかを追うことができるのです。そうする事で、良質なイベントを見つけ出し、適切な予算配分が可能となります。


▲<コホート分析>キャンペーンや特定の広告など“ある施策で獲得したユーザー”の「翌日に課金した割合」「30日後に継続利用している割合」など、特定の集団を継続的に追跡し分析できる。




中村氏:「ファネル分析」はユーザーの離脱ポイントを把握する事で、ロイヤルユーザー化を促進する為の改善ポイントを導き出せるという特徴を持っています。例えばチュートリアルの開始から突破までを例にとりますと、多くのユーザーが離脱しているポイントを把握し改善する事で、継続利用へつなげることができます。

これはチュートリアルにかぎらず、ステージ突破型のアプリであれば、どのステージで多くの人が脱落したかが分かるため、そのポイントで無料アイテムを付与したり、難易度を下げたりといったチューニングが可能となります。


▲<ファネル分析>ゲームの場合、序盤のチュートリアルやイベントの通過率、離脱率、ゴール到達率を計測し可視化する。ゲームのどのイベントで離脱しているか、アイテム購入完了までのどのステップで離脱しているかなどを計測分析することで、UIの改善につなげることが可能となる。



谷本氏:また、ApsalarはTwitterとFacebookのアプリ内広告効果測定ができるツールでもあります。既存のツールでは、広告効果測定はできても、アプリ内解析はできないものがほとんどです。その両方をできることは大きな強みですね。


――:どのジャンルのゲームアプリでも効果がありそうですね。

中村氏:コホート分析とファネル分析はどこにでも通用する考え方なので、ジャンルに偏らずに使えると思います。


――:Apsalarの日本展開を発表したときの反響はいかがでしたか?

谷本氏:元々海外で評価が高かったことに加えて、コホート分析やファネル分析がグラフィカルに表示されるということで、注目は特に高かったと感じていますね。実際に問い合わせも、すでにいくつか来ています。

現在はアプリ同士の競争も激化して、開発費も高騰しています。徐々に失敗が許されないマーケットになってきたので、ロイヤルユーザーの確保とグローバルな展開は必須課題になりました。そのため、自社開発のツールではなく、世界的に評価の高いApsalarが注目されているのだと思います。

とはいえ、日本での展開はこれからが大事だと捉えています。アプリマーケット自体は大きいものの、アプリそのものを育てていこうと動いているのは極一部の企業に限られます。


――:北米を始めとした英語圏では相当な普及をしているのですか?

中村氏:すでに770社以上が導入しており、ソーシャルゲーム企業だけでなく、多くの一般大手企業も採用しています。今はまだ多くは海外法人ですが、今後、日本企業も名を連ねられるようにしたいと考えています。
 

――:ゲームにかぎらず、アプリであれば全般的に活用できるのですね。

中村氏:もちろんゲームアプリの最適化に強い解析ツールであることは間違いありませんが、そこに特化しているわけではなく、さまざまなタイプのアプリを網羅できます。

谷本氏:アプリ内解析ツールを導入する企業の半分はゲーム運営社で、4分の1がEC、最後の4分の1が宿泊や航空などのチケット販売会社と言われています。私たちとしては、ゲーム運営社への導入に力を入れつつ、ほかの一般企業へのサポートも行っていきたいと考えています。


 

■ユーザーの「ロイヤルユーザー化」が重要になる


――:では、日本での普及を目指すにあたり、どのような企業におすすめしていきたいですか?

谷本氏:これからのデジタルデバイスの主役は、PCからスマートフォン中心になっていくことはトレンドとして不可逆な状態だと思います。となると、当然マーケティング対策もスマートフォンを中心に据えた戦略構築が必要になってきます。ソーシャルゲーム以外の業界では、例えばECや旅行系、一般ツールアプリなどは、1つのアプリに慣れると、他のアプリに乗り換えることはおこりにくくなります。

ユーザー心理としては、使い慣れたアプリをどんどん使いこなす方が、便利で楽だからです。その選ばれるアプリになるためには、なんらかの分析と課題発見、改善のマーケティングサイクルが必要になってきますし、Apsalarを通して、私たちが戦略パートナーとしてサポート致します。



 
中村氏:最近はユーザーの目が肥えてきたこととリリースされるアプリが増えたこともあり、アプリがインストールされる機会が減ってきています。インストールまでの障壁が多くなった分、一度獲得したユーザーさんを大事にするためにも、アプリを改善してロイヤルユーザー化させていくことが大切になってきます。

この場合、ツールでユーザーさんの行動をどこまで分析し、その情報を元にターゲティングして広告を配信することが重要になりますが、Apsalarはすでに対応しています。また、ユーザーさんのリエンゲージメントも積極的に行っていこうと考えています。Apsalarとしてのやり方はすでに構築されていますので、ひとつのポイントになると思います。
 


――:スマートフォンアプリの全盛期を迎えた中で、悩んでいるメーカーも多いと思いますし、注目を集めそうですね。それでは、最後に「Social Game Info」の読者へ向けてメッセージをお願いします。

谷本氏:Apsalarを使い、リリースされたアプリを成功へ導くための解析とコンサルタントの部分でサポートしていきたいと考えておりますので、もし興味があればお話だけでもさせてもらえればと思います。


――:ありがとうございました。


■「ApSalar」
 
■関連サイト

「GMO NIKKO」企業サイト

 
GMO NIKKO株式会社
https://www.koukoku.jp/

会社情報

会社名
GMO NIKKO株式会社
設立
2009年8月
代表者
代表取締役社長 佐久間 勇
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