【インタビュー】大ヒット音楽ゲーム『Cytus』『Deemo』を開発した台湾企業・Rayarkが日本展開に舵を切る。今冬に初の海外コンサートを東京で開催予定

去る2014年7月2日~7月4日に、「第4回キャラクター&ブランド展(通称:ライセンシングジャパン)」が東京ビッグサイトで開催された。同展示会は、オリジナルキャラクターやアニメ、映画、ドラマ脚本まで、豊富なコンテンツを持つ企業が出展している。

今回の展示会では、台湾オリジナルコンテンツの海外進出を支援するアライアンス組織「跳箱聯盟(日本語訳:跳び箱連盟)」が出展。「跳び箱連盟」のメンバー企業には、ゲーム会社では、音楽ゲームアプリ『Cytus』で知られる雷亞遊戲 (レイアーク)をはじめ、『Space Qube』を手がけるQubit Games (キュビット)などが連ねている。

そこで本稿では、台湾のゲーム企業・レイアークにショートインタビューを試みた。同社と言えば、日本のみならず世界中で大ヒットを飛ばしている幻想的な音楽ゲームアプリ『Cytus』や『Deemo』などを手掛けた企業だ。それぞれ1~2年前にリリースされた買い切り制アプリにも関わらず、いまなお有料ランキングの上位にランクインする根強い人気を得ている。

今回は日本展開を意欲的に進める背景や新作ゲーム情報、そして今後の動向などを、同社のゲームディレクター・Tony Lee氏に直撃。

 

■「日本オフィスの設立も検討しています」


レイアーク(英語表記:Rayark)
ゲームディレクター Tony Lee氏

――:本日はお忙しいところありがとうございます。まず改めて御社のことを教えてください。

レイアークは、2011年9月に設立した台湾のゲーム企業です。これまで製作したゲームタイトルは『Cytus』『Mandora』『Deemo』の3タイトルで、全世界累計ダウンロード数は2000万を超えています。現在スタッフは35名となります。


――:ありがとうございます。今回ライセンシングジャパンに出展されていますが、こちらは関連商品の多角的な展開のためでしょうか。

はい。ゲームであれば、ネット経由でどこでも全世界ダウンロードできるのですが、関連商品はそうはいきません。近年、弊社でも自社タイトルのキャラクターグッズなどを発売しており、直接日本に出向いて売り出すために、今回出展しました。


――:ちなみに日本には、どのような印象をお持ちですか。

弊社のタイトルは、特別日本マーケット向けに開発したわけではありませんが、結果的に日本の市場でヒットしているのは大変嬉しいことです。また、日本はゲームや音楽などのエンターテイメントが成熟したマーケットだと思っています。だからこそ、これから会社をあげて日本におけるPRを積極的に行っていくとともに、何か面白い化学反応が日本で起きることも期待しています。
 
【Rayarkタイトル紹介(1)】『Cytus』
 

Rayark初の音楽リズムゲーム『Cytus(サイタス)』は、2012年1月にリリースされて以来、全世界で累計600万ダウンロードを突破しているタイトル。App Storeの有料ランキングで日本、韓国、シンガポール、台湾など10ヵ国以上の国々で1位に輝いた。全世界のミュージシャンにより楽曲が提供され、曲数は始め15曲だったものが、現在では150曲にまで増えた。今も更新継続中。

本作は、美しい手書き風のイラストと多彩な音楽ジャンルを取り揃えている。プレイヤーは、上下に動く判定ラインシステムと3種類のノーツ(タップ・スライド・ホールド)が重なったところをタイミングよくタップし、高得点を目指していく。また、バージョン2.0.0アップデートより、アプリが10万回有料ダウンロードされるたびに、10曲入りの新しいチャプターをひとつ無料追加するという、大胆で実験的な施策を展開していることも業界間で注目されている。
【Rayarkタイトル紹介(2)】『Mandora』
 

Rayarkのマスコットキャラクター、そして同社初となるカジュアルゲーム『Mandora(マンドラー)』。本作は、土から生えてくる様々な種類のマンドラーたちを引き抜きスコアを競うゲーム。連続してタイミングよく引き抜くとコンボが発生し、より高得点を狙える。2012年11月にリリースされた本作は、現在全世界で累計1200万ダウンロードを記録。現在製作中の『Mandora』の続編では、プレイヤー自らが『Mandora』の世界を作り上げることが可能とのこと。
 
 
 
 
【Rayarkタイトル紹介(3)】『Deemo』
 

『Deemo』は、情緒豊かな奥深い物語構成とリアルなピアノ音質、そして何よりもシンプルで直感的なゲームプレイが特徴的なRayark2作目となる音楽ゲーム。2013年11月リリースで、現在全世界で累計200万ダウンロードを記録。音楽ゲームとしての遊び方はもちろん、屋根裏部屋や図書館を調査して物語を読み解くアドベンチャー的な雰囲気を兼ね備えている点も魅力のひとつだ。

プレイ画面では、上から落ちてくるノーツ(譜面)を線に合わせてタイミングよくタップするといった、従来の音楽ゲームと同様の操作方法。しかし、判定が広々としており、たとえミスしてもそれをも感じさせない仕様は、繰り返し遊びたくなる。そして、一日中ひたすらピアノを奏でている謎の多い人物「Deemo」と、空から本作の世界に落ちてきた少女のふたりが紡いでいく物語にも注目。
 
 
 

――:素朴な疑問で恐縮ですが、御社のタイトル『Mandora』はFree to Playに対して、音楽ゲームアプリ『Cytus』『Deemo』は買い切り制ですよね。こちら何か意図はあったのでしょうか。

やり応えのある音楽ゲームの多くはコアゲーマーであり、クオリティの高い作品に対しては、きちんとお金を払って応えてくれると思っていました。そのためFree to Playではなくて、買い切り制となっています。


――:御社のタイトルは3作品中2作品が音楽ゲームですが、何か思い入れがあるのでしょうか

じつは、もともと私自身別会社で音楽ゲームを手掛けていたことがありました。そのため、人より音楽ゲームのノウハウが溜まっており、今回のRayarkでも昔の経験を活かして手掛けた形になります。


――:また、音楽ゲームと物語性が見事に融合しているゲーム演出は、本当に心奪われます。こちらも何か意図があったのでしょうか
 

これは、昔からの夢でした(笑)。音楽ゲームと物語制が融合して、なおかつゲームとしてクオリティの高いものを打ち出したかったのです。もちろん、あまり従来の音楽ゲームには見受けられなかった演出でもあったため、自分自身で製作できるか心配でもありました。結果的に面白いゲームが完成して、世界中の方に受け入れられたのは嬉しいことです。


――:そして、2014年には新作アプリ『Implosion』がリリースされますよね。公開中のPVを見る限り、これまでの作品とは異なり、歯ごたえ抜群のアクションゲームとなっています。
 

『Implosion』は、会社を設立した2011年から構想していたタイトルです。当時からのコンセプトは、弊社の高い技術力を駆使して、異なる端末の画面サイズでもユーザーに満足できるようなゲームを作り出そうと、考えて製作しているタイトルになります。また、当初はXbox360をはじめとするコンシューマプラットフォームでリリースする予定でしたが、やはり遊ぶ人が圧倒的に多いモバイゲームにしました。いろいろな考えで葛藤して製作に臨んでいたら3年もの月日が経ってしまいましたが(笑)。価格については、まだ確定しておりませんが、恐らく有料アプリとなります。仮にほかの企業と協力してリリースする際は、また変わってくるかもしれません。


――:わかりました。今後日本ではどのようなプロモーションを展開していくのでしょうか

日本におけるプロモーションを積極的に展開するために、日本オフィスの設立を検討しています。また、別に日本の企業さんで関連グッズを一緒に手掛けてくれたり、コンサートに協賛してくれたりする会社も探していこうと思います。今後も日本で弊社のタイトルを多くの方に知っていただくために頑張ってまいります。


――:本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

▼ブースに展示されていたRayarkの関連グッズ▼
 
 
 
 


また、会場に配られていた各タイトルの小冊子には、今後の展望が掲載されていた。前述したように『Mandora』は、プレイヤー自らが『Mandora』の世界を作り上げられる続編を製作中とのこと。

また、『Deemo』は2014年秋にVre2.0、2015年に続編を視野。『Cytus』は、2015年に続編、アニメや映画、ミュージカルなどのクロスメディア展開も視野している。

そして、2014年の冬に東京で初の海外コンサートを行う予定とのこと。将来的には、世界各地でワールドツアーの開催も考えているようで、2014年-2015年はRayarkの動向に目が離せないだろう。
 
(取材・文:編集部 原孝則)


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